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2.
「あれか・・・」
コンビニを素通りして、夜のコインパーキングにそーっと近づくと、うすぼんやりとした灯りに照らされているのは腰を抜かして立てなくなっている若い女性であった。
「あれがゲスト・・・?
いや、こっちか」
よくみると、女性の目線の先に横たわる何者かの姿があった。
女性と同年代くらいの若い男だ。
「マキアートにしては普通の人間みたいに見えるな?」
「悪魔」とひと口にいっても、その姿はさまざまだ。
人間に取り付いて支配するタイプは「ラテ」と呼ばれている。いわゆる悪魔に憑りつかれたというヤツだ。人の身体がベースになっているので攻略難易度は低い。
一方、悪魔単体で行動する場合は「エスプレッソ」と呼ばれる。するどいツメを持っていたり、空を飛んだり、人間の常識など通用しない厄介な相手だ。ただし、滅多に見かけることはない。
今回のターゲット「マキアート」はその中間だ。
背後霊のような姿だったり、人間の身体の一部が変形したり、いろいろなケースがあるが、悪魔単体ではなく、人間に依存しているのが特徴である。
座り込んでいる女性を助けに行きたいところだが、そばでうつ伏せになっているアレの正体がわからないとうかつに近づけない。そもそもマキアートとやらが女性の方でないという保証もないのだ。もちろん、どちらもそろって悪魔のコンビであってもおかしくない。
ペトが出方をうかがっているうちに、うつ伏せの方がむくりと起き上がった。
というより、操り人形のように、持ち上がったと言った方がいいだろうか。
ようやく見えたその男の顔はパックリと開いた口が耳元まで裂け、猛獣のようなキバが並んでいた。
「とりあえずこっちがマキアートだな。
そばの女を救うかどうかだ」
ペトはシャツの首元に手をつっこみ、十字架のネックレスを取り出した。
首からはずしたそれを両手でひねるように変形させると、それは2つに分かれ、鎖の両端に金属がついた、小さなヌンチャクのような武器に早変わりした。
ヌンチャクの一端を持ち、気づかれないように、そーっと駐車場内部に侵入したところで、後ろから声がかかった。
「ペトさんっ!」
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