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夜の駐車場に響きわたる女性の呼び声に、ペトだけでなく口の裂けたゲストもくるりと振り返った。
人差し指を立てて口に当て、渋い顔をしたペトに、女は右こぶしでコツンと頭を叩き、ちょっぴり舌を出した。
「いやいや、「テヘ」じゃねえよ、パウ。
もうすぐ30だろ?」
「ま、まだ余裕あるわよ!」
ゲストは大きく口を開けたままゆっくりとこちらに近づいてくる。
「あれ、ゲスト・・・ですよね?
すいません!」
「どのみち、となりにいる女から引き離す必要があったしな。
こっちに気が向いてるのは好都合だ。
ただし、相手はマキアートだぞ。気をつけろよ」
悪魔とひと口に言ってもその正体は不明だ。ゆっくり移動しているように見えて 不意に飛び掛かってくるかもしれない。
「今、ロクな武器を持ってなくてな。
何かあるか?」
ペトはゲストの様子に注意をはらいながら、ヌンチャクを首にかけて元の十字架に戻した。
「持ってきましたよ!
はい、これ。
「祝砲」です」
「ん?
初めてのヤツだな。
「祝砲」って、なんかお祝いのときに空撃ちするやつだろ?」
「いえ、そっちの「祝砲」じゃありません。
お祝いの気持ちを弾丸にこめて発射する新開発の武器です!」
「名前変えろよ、まぎらわしい」
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