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塗仏
これは、某ちゃんねるの掲示板(※都市伝説板)で数年前に流行っていたお話です……。
〝シンエモン〟というハンドルネームで書き込まれ、実際の体験者は〝M君〟という若い男性だということです。
このM君、地方の大学に通っているいたって普通の大学生で、適度に勉強し、あとはアルバイトやサークル活動をして過ごすという、やはり平凡な学生生活を送っていたんですが、そんな学生の常として、暇を持て余した時には仲間達とドライブがてら、一台の車に乗り込んで心霊スポットを訪れるという遊びをしていました。
そんなある日のこと。M君達は一つの興味深い、心霊スポットにまつわる都市伝説をネットで見つけたんです……。
それは、M君達の住む都市からわりと近くの山中にある廃寺で、そこには奇妙な仏像が一体、厨子の中に祀られているんだそうです。
ただ、その仏像、人を選ぶというか、廃寺へ行っても見つけられる人と見つけられない人がいるっていうんですね。
そして、幸か不幸か仏像を見つけてしまった者のところには、後日、その仏像と同じ姿をした魔物が現れ、見たもののことを早く忘れて一切関わらないようにしなければ、その者は魔物に取り憑かれて命を奪われてしまう……というような、そんなお話です。
最後の注意書きのせいか、その仏像がどんな姿をしているのかは、いくらネット検索をしても一向に出てきません。
いかにもな都市伝説といった話ですが、その分、興味をそそられる、おもしろい話でもあります。
場所が近かったこともあり、早々、M君達はそこへ行ってみようということになりました。
全員の都合がついたある日の深夜、中古車の白いセダンにいつもつるんでいる四人で乗り込み、ネットで得ただいたいの住所をナビに入れてM君達はその廃寺へ向かいます。
こういう時、道に迷ってなかなかたどり着けないだとか、異世界のような奇妙な場所へ迷い込んでしまっただとか、そういう話もよく耳にしますが、その筋では有名な心霊スポットだったせいか、ネット情報もわりと正確で、なんなくその廃寺へはたどり着くことができました。
「――うわっ……マジでなんか出そう……」
それでも、車から降りたM君達は、懐中電灯の淡い光に浮かびあがるそれを見上げ、誰もが背筋に冷たいものを感じます。
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