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episode 1 -中学時代-
「桃花!!早く起きなさい!いつまで寝てるの!」
朝はきまってママの怒鳴り声が目覚まし代わり。
そんなに大きな声で言わなくても聞こえてるわ!
「はーい、起きてるよー」
「今日は病院に行く日なんだから早く支度して」
私、櫻井 桃花は生まれつき心臓に疾患があって
生まれて直ぐに何度も手術をしている。
そのため激しい運動も出来ないし
毎月、病院へ受診しなきゃならない。
薬も飲んでいる。
もう慣れたけど小さい頃はいやだったな。
「ママー、今日行かなきゃだめー??」
「またワガママいってんのか?行かなきゃダメだろ」
「あ!!なんであんたがここにいるのよ!またママが入れたんでしょ!!もう中3なんだからレディーの部屋に勝手にはいるな!!」
ウダウダしたい私の目の前に突然現れたこいつは
幼なじみの桜庭 悠一。
小学1年の時に隣の家に引っ越してきた悠一は
小さくて可愛くて女の子みたいだったのに
中学校にあがったら急に背が伸びて
たまに私をドキドキさせる。
私の初恋はなんと9年間も続いている。
自分でも呆れるぐらい、、、
というか、怖いぐらいそのうちストーカーに
なっちゃうんじゃないか?って自分が心配になるほど
大好きだけど関係が壊れるのが怖くて言えない。
「誰がレディーだって??どこ?どこにいる?そんなレディーよ!?」
悠一は完全に私を女だと思っていない。
まぁ、そのほうが気が楽なのもあるけど
絶対告白なんて出来ないとつくづく思う。
「朝からちょームカつくんですけど。ってか、毎月病院一緒に来てくれなくていいから。一人で行けるし。」
「付き添いってことで学校さぼってんだからいいんだよ、お前こそ協力しろよな、俺のさぼりに(笑)」
なぜか悠一は中学校入ってから
毎月、病院に付き添ってくれる。
親は2人とも働いていてなかなかやすみが取れないし
わざわざとるほどのこともないんだけど
その代わりに悠一が来てくれるのだ。
嬉しいけど申し訳ないような。
でもさぼりのためならいいのか???
いつも複雑な気持ちになる。
「でも最近、私たちが付き合ってるって噂までたっちゃって、、、」
「めんどくせーなー!朝からグチグチいってないで早く支度しろよ!」
「はーい、、、って部屋から出ていってよ!着替えられないでしょ!!!」
「はいはい、そんな貧乳みたくないですよ」
「ほんとムカつく!!!」
投げた枕が閉められたドアにぶつかって
さらにムカついた。
こんなことをもう何年も続けているけれど
私たちはもうすぐ高校受験。
悠一と同じ高校に行きたいけど、私の頭じゃ同じところは無理そう。
悠一は頭がいい。スポーツも万能だしモテる。
なのに彼女を作らない主義なんだって。
もしかして実は男が好きなのか???
なんて、くだらないこと考えてないで
早く用意しよう(笑)
今は悠一がそばにいてくれることを素直に喜ぼう。
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