13 夜の森で~藍染尚央~

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「ん、あぁ……」 「う……、あ……っ」  先端にぬるっとした感触があってから、熱にめり込むようにして、肉棒は拓海の体内へ、飲み込まれ、その奥へゆっくりと侵入していく。やがて、その一番奥へ辿り着くと、拓海は苦しそうに呼吸をしながら、尚央の体の倒れ込んだ。 「あぁ……、入ったぁ……」 「拓海、大丈夫?」 「うん。でも、やっぱ、尚央のおっきい……。腹のナカ、ぱんぱんだもん……」 「ごめん……」 「また。謝んないの。褒めてんだから」  そう言うと、拓海はくす、と笑みを零した。尚央は微笑む彼を抱き寄せ、その唇を塞ぐ。そうしながら、腰を引いては沈ませる。秘所の入り口で、繰り返し出し入れさせられ、尚央は待ちに待った快感を得て、たまらずに喘いだ。入り口はまだ狭く、きゅうきゅうと尚央の肉棒を締めつけていた。 「はぁ、あぁぅ……っ」 「かーわいい……。尚央……」 「拓海……」 「いっぱい……、おれのこと、感じてね……」   拓海がそう囁き、尚央の唇を塞ぐ。そうしたままで、繰り返し、腰を揺らし続ける。すぐに、車体が大きく揺れる。ぐちゅ、ぐちゅ……と卑猥な音が響き始める。呼吸が苦しくなっていく。だが、止められない。口づければそれだけ、欲が膨らんでいく。 「はぁ、拓海……」 「尚央……、んう……、はぁ……」 「拓海……。拓海の体のナカ、すごい熱くて、きもちいい……」 「尚央のも、すっごいきもちいよ……。おれ、今日……、すぐイッちゃいそうだな……」 「だめだよ……。ちゃんと我慢して……」  キスをして、囁いて、きつく抱きしめ合う。ただ、ひとつになっているだけで、こんなにも幸福感に満たされている。だが、欲求は溢れるばかりだ。  拓海のこと、僕も気持ちよくしてあげたい……。 「ねぇ、拓海。僕も動いていい?」 「このまま、動ける?」 「うん……。たぶん、できそう……」  尚央は拓海の腰を撫でながら、尻の丸みを優しく掴んだ。柔らかな肉をぎゅうっと掴み、ゆっくりと腰を突き上げ、何度か揺らしてみる。すると、拓海が嬌声を上げた。 「あぁ……っ、あ……っ」 「大丈夫?」 「ん……、これ、やばい……。すっごいきもちい……」 「ほんと?」 「うん。尚央、今のもっとして……」  尚央はこく、と頷き、もう一度、腰を揺らした。拓海の尻を掴み、腰を上へ上へ、突き上げる。一定のリズムで、何度も、何度も。尚央の肉棒は、拓海の体内を繰り返し擦りながら、どんどん深みへ沈んでいった。 「あぁん……っ、いい……、尚央、あぁ……っ」 「はぁ……、あぁ……」 「あぁ……っ、イ、ちゃう……っ」 「拓海……っ」  車体が大きく揺れる。互いに呼吸を荒らげながら、懇願するように名前を呼び合って、喘いで、抱きしめ合う。ふたりの体が繋がっているそこは、灼けるような熱を持ち、出し入れを繰り返しながら、ぐちゅ、ぐちゅ……と、卑猥な水音を立てていた。そうして、ふたりの嬌声と同じリズムを刻んで響く。 「あぁ……っ、あ……っ、尚央……」 「拓海……」 「きもちいよ……、尚央……、あぁ、ん……っ」  あぁ、どうしよう……。苦しくて、息ができないのに……、気持ちよくって止められない……。  もう全身汗だくで、暑くてたまらない。けれど、快楽に溺れてしまっているせいか、この体はまだ満足などしていない。拓海が欲しい、彼の熱を感じたいと、渇望している。尚央は拓海の腹の奥へ、奥へ、腰を突き上げながら、ぎゅうっと彼の尻の丸みを掴んで揺すった。すると――。 「ああぁん……っ、だめ……、お、奥……、きて……、る、あぁ……っ」 「はぁ……、あぁ……」  尚央の肉棒の先端は、さらに拓海の体の奥へ届く。その瞬間。彼の体内がぎゅうっと締まっていくのを感じた。この感覚がなにを意味しているのか。尚央はもう知っている。拓海が快楽の絶頂へ昇り、限界を迎えているのだ。 「あぁん……っ、もう、イっちゃうよ……、尚央……」 「ん……、僕も、もう我慢できない……」  尚央は腰を揺らしながら、拓海の唇に口づける。塞いだ唇の端から、熱い吐息と艶っぽい声が漏れた。同時に尚央の肉棒は、拓海の体内でぎゅうぎゅうと締めつけられる。まるで、全身の体液を搾り取られるているかのようだ。 「ん……っ、はぁ、拓海……」 「尚央……、すごいきもち……、ああぁん……っ」  拓海は、もうとうに限界を迎えている尚央を、さらに狂わせる。尚央は我を忘れ、腰を振った。呼吸が苦しくてたまらないのに、止められない。まるでスプリングベッドのように車が揺れ、快楽に溺れるふたりを隠すように、窓が白く曇っていく。拓海の体内はうねるように動きながら、尚央の体の一部を執拗に締めつけた。 「う、あぁ……、もう、出る……っ」 「尚央……、あぁっ、あん、イク、イっちゃ……、ああぁん……っ!」  あぁ……、拓海――……!  はちきれんばかりに膨らんだ欲望を抑えきれず、尚央はぎゅうっと拓海の体を抱きしめたまま、動きを止めた。拓海と繋がった体の一部は、彼の体内の奥深くで留まる。次の瞬間。下半身がビクッ、ビクッと痙攣した。 「はぁ……っ、あ……」 「あぁ……、んっ、尚央……」  かすれるような声で、拓海が尚央を呼ぶ。彼もまた尚央に覆いかぶさったまま、脈打つようなリズムで、体を震わせていた。同時に、腹のあたりに生温かい体液が飛び散っていく。尚央は、腕の中でぐったりとしている恋人の背中をさすりながら、頬にキスをして囁いた。 「一緒に、イッちゃったね……」 「ん……。気ぃ失うかと思った……」 「僕も。きもちよくて、我慢できなかった……」  尚央の言葉に、拓海は嬉しそうに笑みを零し、返すように尚央の頬にキスを落とす。果てたばかりで、体は一気に脱力し、次第に重く、だるくなっていく。しかし、拓海の体内は、まだまだ尚央を離そうとはしてくれない。 「はぁ……、拓海のお腹のナカ、すごい……」 「すごい?」 「うん。僕のこと、まだぎゅうってしてるよ……」 「ごめん、苦しい……? もう抜く?」 「……ううん、だめ」  心配そうにそう訊ねるのを見る限り、拓海がそうしているのは無意識なのだろう。尚央はかぶりを振って、彼の唇にそっとキスをする。 「苦しいけど……。まだ、動かないで……、ここにいて……」  拓海と離れたくない。もう少しふたりで、こうしていたい。尚央がねだるように言うと、拓海はホッとしたように微笑んで頷く。そうして、尚央の体にすがるようにして、身を重ねた。 「でもさ、あっつくて、溶けそう……」 「うん……」 「尚央、おれと離れたくないの?」 「離れたくない……」 「そっか」 「拓海は離れたい?」 「ううん……。ずっと、こうしてたい……」  互いに、ふふ、と笑みを零した。もう全身汗だくで、どこもかしこもぐっしょりと濡れている。だが、途方もなく心地がいい。尚央は拓海を抱きしめながら、彼の髪に触れ、指先で梳くようにして、優しく撫でる。途端に、ため息が漏れた。静かな指先に感じる微かな温もりさえも愛おしくて、胸の奥がきゅうっと狭くなったように、苦しくなるのだ。  あぁ……、こんなになっても、まだ僕……、足りないや……。  今夜は妙だ。拓海が欲しくて欲しくて、どんなに愛しても物足りない。尚央は自分の欲深さに気付かされながら、拓海を何度も抱きしめ、彼の首すじや頬へ口づけていく。彼への身勝手な欲望を隠し、なるべく優しく、強い想いだけが伝わるように。すると、拓海は嬉しそうに笑みを零した。 「くすぐったいよお、尚央……」 「ごめん……」  だが、やめる気にはなれず、尚央はまた、執拗にキスを落としていく。拓海の耳のふち、首すじ、頬に。何度も、何度も。そうするうち、やがて拓海が体を起こした。 「ね、尚央……」 「ん……?」 「もっかい、シたいんでしょ……?」  艶っぽい笑みで見つめ、囁かれる。必死に隠していたはずなのに、どうやら、いまだ大人しくなってくれないこの欲望を、彼に見抜かれてしまっていたようだ。尚央は頷き、言い訳をするように囁いた。 「だって、僕……、拓海のこと、もっと欲しいんだもん……」 「おれも。だけどさ……、家、帰ってからにしない? 喉、乾いちゃった」  拓海がそう言って、仕方なく尚央は頷く。それから、どちらともなく口づけ、当たり前のように、甘く唇を食んだ。まるで、これからもう一度ここで、深く愛し合う準備をしているかのような、ねっとりとした深いキスだ。尚央は密かに期待を膨らませるが、やがて拓海は唇を離し、のそりと体を起こす。そうして、乱れた格好のまま、運転席に戻っていった。だが――。 「ねぇ、尚央……」 「うん?」 「帰ったらさ、シャワー、一緒に浴びよっか……」  拓海は、尚央の反応を窺うようにちら、とこちらへ目を向ける。それを見るなり、尚央は思わず微笑んだ。それから、返事をするかわりに、ちゅ、と彼の頬に口づけた。
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