11 尚央の家出~早瀬拓海~

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 もっとも、彼の意外なタフさは、拓海にとっては朗報ではある。拓海は尚央の肉棒を握り、上へ下へゆっくりと動かして(しご)く。すると、尚央がまた艶やかに喘いだ。 「あぁ……、拓海、だめ……、あぁっ……」 「やだ?」 「や、じゃないけど……、だって……」  尚央はそう言いかけ、その先を躊躇(ためら)った。だが、すぐに起き上がり、拓海の手を取ると、少し強引に唇を塞ぐ。 「ん……っ、尚央……?」 「僕も、拓海のこと気持ちよくしたいもの……」 「んぁっ、こら……」  さっきまで従順だったはずなのに、尚央は言うことを聞かない。拓海のベルトを外し始め、ズボンのファスナーを下ろしていく。そうして、下着を(まと)った拓海の膨らみを、手の平でぎゅっと握った。 「あぁ……っ」 「ねぇ、拓海……。僕だって、拓海のこと、とろとろにしてあげられるよ……」 「あ……、あぁっ、ちょっと待っ……、尚央……」  尚央の手に下着ごと揉まれて、膨らみが急激に熱を持っていく。下着は濡れて、じわじわと染みを作っていく。尚央はそれを見るなり、下着の中に手を忍び込ませ、中で体積を増していく拓海の肉棒を(じか)に撫でた。 「あぁ……っ、あ……、やば……、きもちい……」 「拓海、ズボン脱いで……。これじゃいっぱい触れない……」  尚央はそう言って、拓海のズボンをずり下ろし始めるが、体勢のせいでなかなかスムーズにいかない。拓海は尚央の唇にキスをしてから、自らスラックスと下着を一緒に脱ぎ捨てる。すると、すぐに手を取られ、尚央の腕に抱き寄せられ、唇を塞がれる。一方では、股の間でそそり立つものをぎゅっと握られた。 「んぅ……、あぁん……っ、尚央……」 「拓海のも、すごい濡れてるね……」 「あぁっ、あ……、んぁ……っ」 「ほら、とろとろしてる……」 「ん……っ」  本当は何もかもリードして、尚央を中毒にさせようと思っていたのに。拓海はいつの間にか尚央に主導権を握られていた。だが、悪い気分でもない。寧ろ興奮する。耳元で囁く尚央の声はあまりに色っぽくて、強引に迫られているような感覚にさせられるのだ。それは無条件に拓海の期待感をも(あお)っていた。  尚央って、意外と「S」なのかも……。だとしたら、参ったなー……。おれ、ますます惚れちゃうじゃん……。  拓海は俄然、迫られる方が好きだし、強引にされるのも好きだ。ちょっと荒っぽい扱いをされるのもゾクゾクしてしまう。だから、今は尚央がまだセックスに不慣れで、ぎこちなさがあったとしても、いつかはそうされてみたいと、密かに妄想もしていた。だが、それは案外、近い将来に叶うかもしれない。そう思うと、さらに興奮させられる。 「尚央……、んぅ、はぁ……、あぁっ……」 「拓海……」  尚央の体に、自分の体を密着させ、彼を強く抱きしめる。口づけて、口づけられて、また抱きしめ合う。だが、不意に互いの肉棒が(こす)れ合って、思わず笑みを零した。 「尚央の、すごい……。さっき、ちゃんとイッたのに」 「どうしてだろ……。こんなこと、あんまりないんだけどな……」 「じゃあ今日は、特別?」 「うん……。もしかしたら、早く拓海と一つになりたいから……かも」  尚央にそう言われて、きゅっと心臓が苦しくなる。尚央が求めてくれていると思うと途方もなく嬉しくて、もう彼のその言葉だけで心が満たされてしまいそうだった。だが、体の方はそうはいかない。 「はぁ……、おれも早く尚央の挿れたいなー……。そろそろ準備しよっかな……」 「準備……って?」 「尚央と一つになる準備」  男の体を受け入れるなら、それなりに準備が必要だ。拓海は体を起こし、ベッドの下に手を伸ばす。そうして、使いかけのボトルを取ると、それを指先に取り出して、尚央に見せる。目の前で、尚央は不思議そうにそれを見つめていた。 「これはね、おれの秘密兵器なの」 「ひみつ、へいき……」 「これを使うととびっきり、いい気持ちになれちゃうんだよ。尚央は――……使ったことないか」  尚央はそれを初めて見たのだろうか。こく、と頷き、やはり物珍しそうに見つめている。拓海は得意になって、中身を手の平に取り出してから、尚央の肉棒を握り、そのまま上下させた。 「あ……っ、う……、あぁ……」 「ね? きもちいでしょ?」 「ん……、ほんとだ、すごい、きもちぃ……ね……、あうぁ……っ」  反応いいな……。すげえ可愛い……。  尚央がビク、ビク……と体を震わせ、艶やかに喘いでいるのを目の前にして、拓海はもう興奮を抑えるのがやっとだった。あぁ、もう早く、早く――。早く尚央と一つになりたい。体の奥で繋がって、抱きしめ合って、快楽に溺れたい。意識が飛んでしまうほど、めちゃくちゃに抱かれたい。それを想像しては、尻の窄まりの奥がヒクヒクと(うず)いてしまう。  こんな可愛い反応されたら、我慢できるもんもできないって……。 「尚央、ごめん……。もうおれ、限界だわ」 「え……?」 「ちょっと待ってて」  拓海は尚央の股の間の肉棒から手を離し、四つん這いになる。そのまま自らの尻の狭間を辿っていく。そうして、いつもしているのと同じように、窄まっている秘所を撫でた後、指先をその奥へぐっと押し込んだ。 「ん……、あぁ……っ」 「拓海……」 「すぐ慣らしちゃうからね……、待ってて……、あぁ……」  尚央に見つめられながら、自ら秘所を愛撫して喘ぐ。こんなにもエロティックな状況で、尚央を欲する気持ちはさらに(はや)った。早く準備なんか終えてしまって、尚央をこの体に迎え入れたくてしようがない。  あぁ、早く……、早く……。尚央が欲しい……。
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