11 尚央の家出~早瀬拓海~

12/21
126人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
 とにかく手っ取り早く。自分の体を慣らしてしまおうとした。こういう時に時間がかかると、せっかくの雰囲気も台無しになる。ところが――。 「拓海……」 「ん……?」 「僕がしてあげるよ」 「え――」  尚央は四つん這いになった拓海の体を、そっと抱き寄せ、拓海の手を取る。そうして、拓海の尻を撫でながら狭間を辿るようにして指でなぞり、(すぼ)まっている秘所を探り始めた。 「尚央……、してくれるの……」 「うん」 「じゃあ、あの……、おれ、後ろ向く――」 「いい。このままで……」  そう言いかけて、尚央は体をほんの少しだけ、下へ移動させている。途端に、かあっと全身が火照った。拓海の胸元には今、ちょうど尚央の唇が当たって、その突起に息がかかるような位置にある。一方で、尻の狭間にも簡単に手が届いてしまう。 「あぁ……、んっ」  すでにローションで滑りがよくなっているのもあって、尚央の指は簡単に窄まりを見つけたようだ。その入り口を撫でられ、拓海の秘所はすぐにヒクッと反応し、やがて(うず)き始めた。 「あぁ……っ」 「ここだね……」 「そう……、そこ……、その奥、指で擦って……」  尚央は再び従順になって、拓海の言った通りに秘所を撫でてくれた。それから、指先をゆっくりその奥へ沈み込ませていく。 「ああぁ……っ」 「大丈夫? 痛くない?」 「いた……くない……、すごい、きもちいよ……」 「よかった……」  尚央は拓海の顔を上目遣いで見つめ、柔らかな笑みを浮かべ、胸の尖りに、ちゅ、ちゅ……とキスをくれる。そうしながら、拓海の秘所の奥を指先で弄ってくれる。その途端、拓海は思わず尚央を抱きしめた。途方もなく優しい指使いと、柔らかな唇の感触に、少しだけもどかしさも感じてしまうが、だからこそ狂わされていく。彼の愛撫がもっと欲しくて、苦しくて、拓海は何度も尚央の名前を呼んだ。 「あぁっ、ん……、尚央……、あぁん……っ」  いつの間にか、尚央にしがみつき、胸の突起に舌を這わされながら、彼のくれる快感にただ身を委ねる。恍惚として、だんだんと意識が遠のいていく。 「あぁっ、あ……、あんっ、尚央……」  尚央の名前を呼んで、喘ぐ。今はそれだけでやっとだった。リードするなんて言ったことはとうに忘却している。拓海は足を開き、彼の指先を股の間の、ふぐりの下へ誘導した。もっと、もっと深い場所に触れてほしいのだ。 「尚央……、こっちからいっぱい弄って、あぁ……」 「ん……、こう……?」 「そう……、もっと奥……、ん、ああぁっ、そこ……、あぁ……」  一番好きな場所に尚央の指が届く。すると、たちまちドクンッと全身が脈打った。尚央は拓海の顔を窺いながら、その奥を擦ったり、突くようにして愛撫してくれる。とても優しくて、柔らかくて、悩ましい指使いだった。これには堪らず、腰が揺れてしまう。 「あぁっ、ん……、んぁ、あぁん、きもちぃ……よ……、そこぉ……」  そんな拓海を見つめ、尚央は柔らかに微笑む。「可愛い……。ここ、拓海の好きとこ?」と訊ねる。だが、拓海は彼に言葉で返すことができずに、こく、こくと頷き、また喘ぐしかできなかった。尚央はとても嬉しそうに微笑んでいるが、拓海はもう限界だった。 「ねぇ、尚央……。おれ、もうだめ……。挿れてほしいよ……」 「もう準備、大丈夫?」 「ん……、大丈夫」    大丈夫どころか、十分すぎるほどだ。もうさっきから、尻の奥はどうしようもなく疼いているし、体中が尚央を渇望するあまり火照っているせいで、汗だくになっている。このままキスと愛撫を延々とされ続けたら、恐らく拓海はそれだけで果ててしまう。 「尚央、おれ上になるから……。尚央は仰向けになってて」  尚央は、こく、と頷き、仰向けになる。彼の股の間の肉棒は、相変わらず逞しくそそり立ち、上を向いている。拓海はごくん、と生唾を飲み、その上に跨った。ついに尚央と一つになれる。この体を、尚央で満たすことができるのだ。  あぁ……、ドキドキする――……。    春に再会してから、ずっとこの時を夢見ていた。ずっと彼を愛したくて、愛されたくて、このシーンを妄想していた。その想いが叶おうとしている。拓海は少しだけ緊張を残したまま、尚央の肉棒をそっと握る。そうして、その頭を尻の窄まりにひたりと当てた。 「ん……っ、いくよ……」 「うん……」  尚央がもう一度、頷いたのを確認して、拓海は腰を沈める。尚央に散々弄られて滑りを帯び、柔らかくなっていた秘所はすぐに尚央を迎え入れた。 「ああぁ……っ!」 「あぁ……」  尚央が……、おれの体に、入ってくる……。  待ち望んでいた快感を得て、歓喜に満ちて嬌声を上げる。同時に全身の肌がぞわぞわと粟立った。尚央も顔を歪ませ、艶やかな声を漏らす。 「あぁ……」 「尚央……、だいじょ、ぶ……?」 「ん……っ、拓海の中……、すごい……」 「きもちい……?」  尚央にそう訊ねると、尚央はこく、こくと頷いた。恐らく、言葉を返す余裕がないのだろう。拓海が安堵して尚央の髪をそっと撫でると、尚央はすがるように拓海を抱きしめた。 「尚央……」 「拓海、好きだよ……」 「うん。おれも、好き……。だーい好き……」  拓海が答えると、尚央は拓海を抱きしめたまま、ちゅ、と耳元へ口づける。それから何度も「好き」と囁いてくれた。その度に、拓海は期待感に煽られ、全身が震え、胸の奥がきゅうっと縮まったように苦しくなる。それと同時に、腹の奥までもが収縮するような感覚があった。  まだ挿れただけなのに、すんげえ気持ちいい……。腹ん中、尚央でいっぱいになって……。 「う、あぁ……」  だが、尚央はひどく苦しそうに掠れた声を上げている。心配になって彼の表情を見れば、彼は頬を紅潮させ、瞳を潤ませ、何とも艶やかな表情で拓海を見つめていた。 「尚央……、ほんとに大丈夫?」 「うん……。今、拓海の、ナカが……、ぎゅってしてて……」 「ごめん、苦しい?」 「ううん、違くて……。エッチ……、こんなに気持ちい……って、思わなくて……、ちょっとびっくりしちゃ……、あぁ……っ」  不意に、尚央の腰がふわりと持ち上がって、拓海の腹の奥まで一気に届く。拓海は全身を震わせて、堪えるように尚央を抱きしめた。 「あぁ……、尚央の、奥まできてる……。きもちい……」 「拓海のお腹の中……、動いてるね……」 「ん……、今ね、尚央がおれの一番好きなとこにいるから……」
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!