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そんなやり取りをしつつ、私はスマホを取り出して同じマンションや近所に住んでいる友達と連絡を取った。が、私はむしろ後発組だったらしく、既にグループラインは通知でいっばいの状態となっていたのだった。
『よっしゃぁぁぁぁぁ!喜びの、舞⁽⁽ଘ( ˊᵕˋ )ଓ⁾⁾ズンドコズンドコ』
『ちょっとその顔文字バグっててすごいことになってるんですけどwww』
『去年は茜音ちゃんの一人勝ちだったけど今年は負けないからね!!!!』
『そりゃこっちのセリフ。アイデアはすでに考えているののだー』
『ふふふふふ、今年はお兄ちゃんという助っ人を召喚するワテ、最強やんな』
『ちょっとおおおおおお!?』
『うっわヒキョー!美湖ちゃんのお兄ちゃんって現役の美大生…』
『一瞬にして勝ち目がなくなった瞬間を目撃した』
『こ、こうなったら私も弟を召喚して手助けさせるしか……!』
『七歳召喚するのはやめとけ、むしろ壊すぞ。無差別殺人が起きるぞ。大惨事ぞ』
『……ソウデスネ』
何の話をしているのかといえば、毎年の恒例行事のことである。
自分たちは雪がある程度積もると、決まって公園に雪だるまを作りに集まるのだ。雪だるま、というよりもはや雪像作りに近い。というのも、それぞれが作った雪だるまを大人たちに集めて、ちょっとした品評会をすることにしているからである。そして、一番凄い雪だるまを作った人が優勝。みんなでその人物に、一つずつお菓子を奢るのだ。
勿論、小学生のやることなので、高いお菓子を奢ることなどできない。それでも景品がある、という事実がみんなを盛り上がらせるのである。小学校一年性から始めたこの行事も今年で五回目。最近は各々助っ人を用意してきたり、スマホで資料を準備して本格的なものを作ろうとする友人も増えてきた。普通に雪だるまを作るだけでは、到底勝負にならないのは目に見えている。
――ふふーん、でも私だって毎年ただ負けてるわけじゃないんだからね!絶対目にモノ見せてやるんだからね!
意気込みだけは、十分だった。今年こそ勝てる!と本気で思っていたのである。――己の図画工作の残念な成績のことはすっかり忘れて。
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