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──先生の指のせいかな……?
木ノ下くんと進展しないのは、夢の中で先生にアソコに挿入された指のせいかもしれない。私の壺は先生の指で塞がれている。それが私をいつまでも処女にとどめておくのではないだろうか。
クモの糸の夢。──その続きを話そう。
夢は往々にしてストーリーが欠如している。驚愕や恐怖の視覚映像や印象だけが記憶の表層にかろうじて留まっていることのほうが多い。
あの夢もそうだった。──強烈な視覚映像。
クモの糸を手放し危うく血の池に落ちるところを先生に抱きとめられた私は全裸。陰毛がツルツルに剃られた股間に先生の細くて長い指が埋まっていたのだった。親指と小指を除いた三本。そのショッキングな映像が今でも脳に焼き付いて消えないでいる。ショックでありながらも、心の片隅では起こるべくして起こった事態として納得もしている。処女が犯されたという被害者意識や羞恥心はなかった。それどころか、いつだれが侵入してきてもおかしくない無防備なそこに先生の指が入れられていることで、保護されていると実感できた。
それは、母の温かい胸に抱かれた安心感。欲しいだけ乳が与えられる満足感にも似たものだった。
指が三本でどのくらいの太さになるのかは実感としてない。確かなのは膣襞が限界まで広げられているということだった。時々中で蠢く。僕はここにいるよと。僕がキミを守っているよとメッセージを送るかのように。
夢の中で先生の顔は見えなかった。だが、あの指は先生の指であることに疑いを持たなかった。教壇で講義ノートや参考文献のページを静かにめくる指。女性のようにしなやかな、白くて細長い指。
初めて異物が私の中に入ったのに、ずっと前からそれはそこに挿入されていたような馴染みさえあった。ひょっとしたら私は先生の指をそこに入れて生まれて来たのではないだろうか。
だが、その指のせいで木ノ下くんが入れなかったとしたら……。
私には、高嶺の花の先生よりも、次点の木ノ下くんがお似合いなのだ。深い恋愛感情にはまだ成長していないけど。
今度また夢を見たら、指を抜いてもらうようにお願いしよう。とても先生に守っていただく価値のある女ではありませんからといって。
そうすればきっと木ノ下くんと心置きなくつき合えるようになれるだろう。隙を見せてあげられるだろう。もっと深い関係になれるだろう。
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