10.不治の病

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 ショーツが膝まで降ろされた。奥様の不自由な身体ではそこから先がつらそうだ。だから、私は膝を折り曲げ自分からそれを抜き取った。奥様のショーツも脱がせる。  すかさず長くて細い指が股間に滑り込んで来る。私は奥様が手を使いやすいように身体を少し上にずらす。と、奥様の唇と私の乳首の先が触れ合わんばかりになった。  ぷちゅ──!  奥様に激しく吸引され、鋭い快感にのけ反った。一気に漏れだす。 「濡れてる。すごいわ。本当に感じやすいのねスズちゃん。素晴らしい肉体よ。泉がこんこんと湧き出てる。欲しいの。あなたの感じやすく濡れやすい肉体が欲しい」  奥様は人差し指から小指までの四本の指で丘の草むらをかき回し、親指で秘裂の先から突き出た突起を愛撫していた。奥様に愛撫されると、包皮を剥かれても痛くない。自分では怖くて触れなかったその部分からサワサワと快感が四方へ拡散してゆく。奥様は私以上に私の身体の扱いが上手い。この肉体は奥様に捧げられるべきなのだと改めて思った。  手首をつかまれた。 「ここ、さわって」  手のひらが湯上りでぬくもった丸く柔らかい丘に当てられる。淡い繊毛がふんわりと載っている。指先が丘の裂け目に触れると、そこはヒンヤリと冷たかった。恐る恐る指を動かしてみる。そこはオンナの一番敏感な部分のはずだが、指の動きには反応しない。反応どころか、二枚の花弁が左右からしっかり合わさり沈黙を保っていた。 「ここ、奥様の大切なところ……」 「そう、私と先生の大切なところ」 「ここに先生をお迎えしているんですね」 「正確には、お迎えして……いたの。過去形ね」 「……」 「今はもう……濡れないのよ」  私はどきっとして手を引いた。 「離しちゃダメ。私の現実をよく知ってほしいの」  私は再度、奥様に手首を掴まれ、冷酷な現実に引っ張られていった。 「私はもう濡れない。ごわごわしたゴムみたいになって、もう先生をお迎えできない……」  私の指は奥様の秘裂をゆっくり上下する。心を込めて愛撫しているうちに濡れだしてくるのではないかと期待を込めて。だがそれは、修行僧のように沈黙を保ち、煩悩の侵入を固く拒んでいる。
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