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「永吉くんは、生命力のかたまりだ! キラキラ輝いているんだ! 外面的な派手な輝きではない。胸の奥からじわじわと溢れ出る光だ。それが私と家内にはよくわかる」
「奥様……ですか」
「そうだ。キミを撮ることを勧めてくれたのは家内なんだ」
「は……」
「私ならキミの魅力を画面に収めることができる。私を信じてほしい」
大学では抑揚のない淡々とした口調で講義する先生が、こんなに熱心に私を口説いている。この人はきっと学者よりも芸術家に向いているのだ。もともと情熱家なのだ。
「やっぱり……ヌードなんですよね」
「そうです。全裸です」
先生はきっぱりと言った。膣の中で先生の指がプルッと震えた。
「奥様が了解なさったと……」
先生は「うん」と大きくうなずいた。また指で突かれる。脚をぐっと閉じる。
ああ、抗えない。奥様にも先生にも私は抗えない。でも……。
ヌード。──先生に裸を見られる。大きいばかりで乳首がまだ陥没している乳房が見られてしまう。下の毛が野性的に渦を巻いているのが知られてしまう。
ご夫妻に抗えない私の答えはもう決まっているのに、胸の中でくすぶっているものがある。肉体的コンプレクスだ。だが、奥様は私の身体を愛しているではないか。綺麗だ、かわいい、と賛辞を惜しまないではないか。奥様に認められているのだ。先生だって認めてくださるはずだ。
永吉美鈴! 自信をもって!
だが、「はい」の一言がどうしても口から出てこない。
私は激しい鼓動を刻む胸に手を当てて、大きく深呼吸をする。
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