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【3】
あの夜から、五年が経った。旦那様は、今も野薔薇のそばで、安らかに眠られている。
お屋敷の主は、アストさんといった。
本当はご主人様と呼びたいのだけれど、とても嫌がられるので、そう呼んでいる。
旦那様に申し訳が立たないと何度も死のうとした私を、主は時にロープを解き、時にナイフを奪って止めた。
それでいて、私に何かを求めたことは、ただの一度もなかった。
主からの指示は、たったひとつ。〝自分のことは自分でしろ〟というだけだ。
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