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【4】
お屋敷には、寝具も食器も揃っていたけれど、どれも長い間使われていないようだった。
主が使うのは、二階の書斎のロッキングチェアと、壁一面の棚を埋める本くらいだ。いつも窓辺で読んでいるから、きっと、あの夜もそこから私を見つけたのだろう。
お屋敷に人が訪ねてくることはなかった。近所に家もなく、郵便も来ない。
私が掃除や庭の手入れを終え、次の仕事を探している時には、よく本を貸してくれた。
どれも難しかったけれど、辞書を手に一所懸命覚えた。せめて、話し相手になりたかった。
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