8人が本棚に入れています
本棚に追加
☆9
*****
『いらっしゃいませ~』
『あ!ヒナちゃん』
『あ、どうも~』
『久しぶり。戻って来たんだ』
『はい。また、よろしくです♪』
シンと会った日
つまり直紀と別れた日・・・の
翌日には
バーのウェイターに復帰した。
マスターもウェイター仲間も
そして、かつての常連さんも
辞めてから半年以上 経ってたのに
覚えててくれて大いに歓迎された。
今日も色んなお客に呼ばれて
〝おかえりの乾杯〟して
(もちろん奢りで♪)
いい感じに酔っぱらってきて
気分は最高♪
『ヒナちゃん』
───と、そこへ
声をかけてきたのは・・・
最近よく来ては
俺に熱い視線を送ってくる
中年の男性客。
『こんばんは。
今日のお相手は決まった?』
この店は
トラブルさえ起こさなければ
客と寝てもOKだったりする。
もちろん合意のうえ前提で。
もしも俺たち従業員が
危ない目に会えば
マスターから恐ろしい制裁がある・・ってのが周知の事実なので
あまり深く考えずに
相手が見つかるのも
この店のいいところ。
『え~?えへへ~
今日は まだなんです~』
『へぇ?僕なんかどう?
ずっと誘いたかったんだよね』
『えー?そうなんですか~?
んー、どうしようかな~。』
正直、顔は あんまり
タイプじゃないんだけど
でも、まあ 見た目じゃ
セックスの
善し悪しはわかんないし
実はすっごい
テクニシャンかもしれないし・・・
ん~
どうしよっかな・・・
『ヒナちゃん今 お友達の家に
居候してるんでしょ?
僕の家なら・・
いつでも好きな時に来て
好きなだけいてもらっても
構わないんだけど、どう?』
『・・・・・え?』
『ヒナちゃんは
何にもしなくていい。
僕が全部、面倒みてあげる』
『え・・・・・
え?全・・・部?』
『そう、全部。
衣食住、保証するよ』
『・・・・・・』
───おお。
それは・・・
なんと
美味しい話でしょうか。
シンの家も居心地いいんだけど
そろそろ
他の居場所も何個か
確保しておきたいって
おもってたとこなんだよね~
シンだって
彼氏を呼びたいだろうし
『とりあえず今日シてみない?』
『・・ん~・・・』
どうしようかな・・・・
戻ってきて何人か客とヤったけど
なーんか不発なんだよな・・・・
でも・・・・
この人、手慣れてそう
今までヤった事ないタイプだから
もしかしたら・・も、あり得るし
美味しい話も
エッチしてから決めりゃいいか
『・・・うん。いいですよ?』
『よし、決まり。
終わるの0時だっけ?』
『はい』
『・・・・じゃあ、後で。』
『はーい、後で』
よっしゃー!
いいカモ、ゲットだぜ!!
戻ってきてよかった!
その時の俺は、浮かれて
なにもかもが
うまくいっているって
そう 思い込んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!