大阪エクソシストのヒ・ミ・ツ

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大阪エクソシストのヒ・ミ・ツ

 世界には――人ならざるものたちと世間の目に触れられぬ闇の中で、人のため戦うものたちがいるという。  日本という小さな島国にも、廃れていく信仰の向かい風の中、それでも戦い続けるエクソシストたちがいる。 『収穫はどないや』  とある西日本の山の中から下山してきたばかりの、一人の退魔師。彼は退魔の札の貼られた中身の知れぬ麻袋を逞しい筋肉のついた腕で持ち運びながら、同業者と電話している。 「大物が釣れた」 『早う持って帰れ。お偉いさんが痺れ切らしてんで』 「わかってる。車で飛ばして帰れば二時間もかからんわ」 『重要な日や。少しでも遅れることは許されへん。今後のお前の待遇も――』 「わかってるわ。今日がどれだけ重要な日かくらい、俺にだってな」 『なら、ええわ。精々事故るなよ』  電話の通話を切り、男は片手で停めていた自分の車の後部座席に麻袋を投げるようにして乗せ、自分は運転席に腰を下ろした。 「……遅れるわけないやろ。この俺が――」  男はアクセルを踏み込み、車を走らせた。
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