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十四
「みなさん。注目!」
小栗はビニル袋の中身を確認する。中には火で燃えたであろう形が歪な携帯電話が入っていた。
「これが現場で見つかった。見ての通り携帯電話だ」
その発見に一同が息を飲む。これは物的証拠となりうるものだからだ。犯人が火災発生時に落とした可能性が十分考えられるもので、中身のデータさえ復旧させられれば警察の勝ちだったから。
「至ってシンプルだったすね、今回の事件」
佐藤はみんなの憶測が無駄で無意味だったと溜め息を漏らす。こういう物的証拠があるのなら鑑識も早く言えよと部長まで加藤にぼやいた。
「ううん。でもですね、中身も焦げ焦げで基盤やメモリーも駄目でした。これを使って捜査するのは無理です」
みんなの表情が曇っていくのを楽しむように口角を上げてニヤリとした。加藤鑑識はいつも若者の警察を揶揄するような態度を見せる。
「でもひとつだけ形の残ったものも見つかりました」と次に小さなストラップを掲げた。
「これ、一階の検査室の歪んだ台底にあったやつで、床穴が開いた所にちょうど引っかかってました。爆発で携帯から取れた物ですかね?」
そのストラップに見覚えのある小栗は一気に青ざめた顔をした。それは自分の携帯電話にも付いている猫のストラップと同じだったからだ。
まさか穂香がこの事件に関わってる? そう思うだけで冷静ではいられなかった。
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