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 「あっくん。久しぶりだね。嬉しいなぁ、元気そうで」  そう言う笑顔は、確かに悟だった。しかし、そのケガは? 致命傷じゃないのか? すごい出血の量だ。  「どうしたんだよ、悟っ!」  慌てて駆けよろうとする篤志を、悟は手で制した。  「いいんだ。こんなことは。それより、あっくん、この先は罠だったんだよ。俺、その事業所の下っ端で働かされていたんだ。驚いたよ、次のターゲットがあっくんだったから。で、何とかしなくちゃ、って思って逃げ出したんだ。あっくんを巻き込まないために」  「罠? 俺を巻き込む?」  悟は説明してくれた。いや、彼の考えていることが、どんどん篤志の頭に流れ込んでくる。まるで以心伝心だ。  太陽ファイナンシャルは裏で巧みに人や企業を騙して金を搾り取る、闇金だ。先輩もその被害者で、散々搾り取られた末に最後は誰か次のカモ――つまり篤志を差し出すことを要求された。そして、必要なくなったために闇に葬られた。  俺は、そんなところの手下に成り下がっちゃったんだ。で、次に狙われてるのがあっくんだって知って、やめさせようと思って……。  悟は連中の犯罪の証拠となるデータや書類を持って逃げ出した。警察に駆け込むつもりだったが、それに気づかれ、追われていたのだ。  ごめんね、あっくん。俺、本当に情けない人間になっちゃって……。
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