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直後、エレベーターのドアが開く。いつの間にか、目当ての階に来ていたようだ。しかし、その先の光景は意外なものだった。
太陽ファイナンシャルという名前の書かれたドアが大きく開かれ、その向こうには、荒っぽそうな男達が血まみれになって倒れている。10人以上はいるだろう。
そんな光景を見下ろすようにして、若い男が2人立っていた。1人が篤志に気づき、近づいてくる。懐から警察の身分証を出して見せた。
「篤志さん、というのはあなたですか?」
「は、はい……」
「港西警察署の鷹西惣一朗です。こちらは城木良幸。どちらも巡査部長です」
2人揃って頭を下げた。
この2人だけで、あの連中を倒してしまったのか……?
唖然とする篤志に向かい、鷹西という刑事が説明を続ける。
「悟と名乗る男性が、先ほど港西署に駆け込んできたんです。で、あなたを助けてほしい、と。とりあえず当直だった我々が駆けつけました。こいつらはすぐにうちの署員達が確保に来ます」
「悟は? 悟はどこに? 警察署ですか?」
必死になって訊くと、2人の刑事は辛そうな顔になった。目を合わせ、俯く。
まさか……。
篤志はガックリと肩を落とす。フロアに涙がこぼれ落ちた。
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