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 小学校時代、時折現れる竜ちゃんと過ごした時間は、幻のようだった。夢だったんじゃないかと感じたこともある。  でも、夢じゃないなら、今こそ願いを叶えてもらおう……。  悟は、追っ手達の気配がなくなると、朦朧とした意識に活を入れ、何とかゴミ捨て場から這い出した。よろよろとした足取りで、警察署の方角へ向かって歩き出す。そして、できる限りの声を出した。  「竜ちゃん、悟だよ。あのときの贈り物、今もらいたいんだ。お願いだよ、叶えてよっ!」  暗闇に悟の声が響き渡る。それを聞きつけたらしく、先ほどの男達の慌ただしい足音がまた聞こえてきた。  「いたぞっ! こっちだ」  迫り来る男達。必死に逃げる悟だが、もう身体に力が入らない。  悟が倒れ込み、男達がそこに殺到する直前、まばゆい光があたりを照らす。  男達の動きが止まった。  光は悟の身体を包み込む。そしてそれが消え、またしても夜の闇が戻った時には、彼の姿は消えていた。
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