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それからスミル姫は三人に「それじゃあ私、行って来るわね」と言って、お城の外に出ました。さらには、大きな門から歩いて出て行こうとしました 。
「姫様! どこへ行くのですか?!」ロムは呼び止め。
「お戻り下さい! こんな吹雪の中にいては死んでしまいます!」ケミクルは説得をし。
「姫様! お願いです!
お戻り下さい! お願い……」セレンは泣きながら訴えました。
「今までありがとうね三人とも……セレン」
そう言うとスミル姫は足元にある雪に包まれた桃色の花をそっと手で摘み取りました。そして祈り始めたのです。
「氷の花をこの国の皆の為に……私は皆さんのことをずっと想います」
スミル姫は三人の執事に言いました。
「私がここからいなくなっても、あなた達はどうか悲しまないでね」
突然、三人の前に光が現れました。光は瞬く間にスミル姫を包み込み、空高く一つの光の筒のように伸びて行きます。
そして、空は一面真っ白く染められて、やがて柔らかな黄色の光が空から降ってきました。それはとても数えきれない、無数の光です。
「あれは?」
セレンが空を指差していると、自分の体が降って来ている光と同じように、黄色く輝いて来ました。
「王位継承しますセレン、あなたがこの国の姫、つまり王になるのです」
どこからか、スミル姫の声が聞こえてきました。
「今までの私からの問い掛けは、あなた達への試験でしたのよ」
「姫様なのですか? 良かったわご無事でしたのね」とセレンが喜びました。
ところが……。
「姫様なぜですか!? 王位はなぜ私では無いのですか?」とロムは言いました。
「何を言ってるのですロム兄さん! ふさわしいのは私だ!」負けずケミクルも言いました。
「お黙りなさい! まず、あなた方は一番にセレンにおめでとうと言うべきではないのですか? 兄妹なのですから」
スミル姫は怒りました。妹のことを考えない二人の兄達に激しく怒りを燃やしました。
「セレン良いですね? あなたが私の後を継いでください」
「分かりました……私が王としてこの国の人達を助けます」セレンは青空に向かって言いました。
「お兄様方、私はスミル姫様のお言葉通りに致します」
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