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毎回、毎回、事ある度にされる行為。
身体の中に異物感が入っていく違和感と、それに伴う痛み。
加えて鉄の匂いと混ざってくる甘い匂い。
普通の人間ならば騒ぎ立てて絶叫するだろう。
意識があるならば。
だけど、私は悲しいかな、吸血鬼の血がある為に本能的に慣れてしまっている。
血の匂いに対しては。
しかし、今日は何かオカシイ。
いつまでたっても飲むのを止めない。
ちょっと、もしかして殺す気?
ごくごくと音を立てて飲むのが聞こえてくる。
見境なしに食べ物を漁るような音に、次第に身体が痙攣を始めてきた。
目の前がボヤケてくる。
抱き抱えられているので両手はダランと垂れ下がる。
「チっ。」
微かな意識の中で、あの男が舌打ちするのが聞こえてきた。
ボヤケて判断が出来ない私を見て、あの男が顔を顰めている。
「やりすぎた。今から俺の血をあげよう。君にはこれから先も生きて欲しい。それに、まだ手放したくないしな。」
何か言っているけど、意識朦朧の頭ではわからない。
「…………………Let's give her the blood in this(この中にある血を彼女に捧げよう)」
視界が歪んでゆく中、あの男の顔が顔に近づいてくるのが見えた。
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