3人が本棚に入れています
本棚に追加
夢を見た。
遠い、遠い、昔、まだ私が人間で吸血鬼に目覚めない頃。
高校の制服を着た私と夏穂ちゃんが、何処かの河原の近くにあるベンチに座っていてお喋りをしている。
「ねぇ、結衣ってば、まだ、あの小さい頃の初恋の人を忘れられないの?」
あどけない顔をした夏穂ちゃんが私を見る。
「顔までは、どうしても思い出せないけどね。声は何故か記憶に残っているんだ。とても、とても優しくて聞いているだけで安心する。」
「そうなんだね。いつか記憶が戻って、もし、初恋の人に会えるとしたら告白する?」
にやにや笑う夏穂ちゃんに、思わず顔が真っ赤になる。
「ま、まさか。相手はきっと大人だよ?あれから何年経っているかわからないし、もしかしたら結婚しているかもしれない。」
「そっかぁ。ねぇ、結衣。」
「ん?」
「いつか彼氏が出来て、私にも彼氏がいて、それで結婚とかなってもずっと親友でいてくれる?」
「もちろんだよ、夏穂ちゃん!!」
「本当に?!」
「絶対に。約束しようよ!!これは、私と夏穂ちゃんの大切な約束。いつまでも、いつまでもずっと親友でいますように。」
隣にいる夏穂ちゃんを思いっきり抱き締める。
離さないように、例え何かあったとしても。
私は大好きな夏穂ちゃんからは離れない。
大好きな、大好きな、大切な親友だもの。
最初のコメントを投稿しよう!