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「……………………んっ。」
眩しい光が瞼に当たり違和感を感じて、うっすらと目を開けた。
「……………意識を取り戻したか。」
すぐ側にあの男の声が聞こえてきた。
身体を起こしたいけど、鉛のように重くて動かない。
しかし、先程の出来事は鮮明に覚えている為に、咄嗟に身体を強張らせる。
「悪かったな、やりすぎた。」
「殺す気だったんでしょ?どうして?」
声が掠れていて、まともに話せない。
「……………挑発的な言葉を言ったからだ。それに対して感情が負けた。まだまだ俺も大人になりきれていないかもな。」
「挑発的って、私が子供じゃないと言った事?」
「………ああ。」
珍しくあの男が肯定している。
やっぱり変ですよ?
今日の貴方は。
不思議そうに見る私に、あの男は視線を逸して窓を見る。
いつの間にか、外は真っ暗で窓ガラスが曇っていた。
「……………雪が降り出したな。あの世界では、と言うより俺の知る世界では雪なんて降らないからな、こんな光景はアイツらは知らないんだろうな。」
「そうなんですね。」
視線を窓へ向け、あの男を見る。
本当に、いつもこの男に振りまわされるけど、今日は一段と振りまわされた。
しかし、何故か、今日は様子がやっぱり変。
「…………………想いってのは厄介だな。いつまで経っても消えない。この雪の様に静かに降り続けて、やがて溶けにくく降り積もる。雪の塊は道具を使えば消えるかもしれないが、想いは簡単に消えない。いつまでも記憶に残るんだよな。」
いったい、どうしたんでしょうか。
メンタルが少女のようになっていますが。
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