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「結衣。」
窓を見ていたあの男が私を見る。
真剣な表情に胸が小さく鳴った。
「今日は本当に悪かったな。少し頭を冷やしてくる。」
「行ってらっしゃいませ。」
戸惑いながらも答えた私に、あの男は小さく笑う。
「今日だけだぞ、メンヘルチックな少女な俺は。」
ニヒルな笑みを浮かべると立ち上がり部屋を出ていった。
相変わらず、油断出来ない人。
あの男が去ったあとを見つめて小さく息を吐いた。
想いは決して消えないかぁ。
貴方には言わないけど、私は今も好きなのかもしれない。
今も、あの男を見る度に胸が痛くて、あの男の名前を呼ぼうとした寸前で止めたのよね。
「リューブライト。」
小さく小さく、あの男の名前を呼ぶと胸が痛むもの。
やっぱり、私は小さい時からずっと。
【終わり】
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