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ガハッと身体を勢い良く起こす。
やけに胸が痛くて、思わず着ていた洋服の胸の部分を強く掴んだ。
今のは夢なんだよね?
何故、夢の中で私は眠っていたの?
不思議に思いながら考えると。
「顔色が悪いな。」
私の動作を見ていた男が口を開いた。
「余計なお世話よ!それと、ここは私の部屋。勝手に入らないで!!」
キッとその男を睨む。
睨まれているはずなのに、慣れている男は壁に凭れたまま腕を組む。
「間違いだな。ここは、お姉さんという名の俺と君の家。それで責任者は、部屋へ自由に出入りが許可が出来る。」
「なっ。」
余裕綽々でいう男に言葉が出ない。
も、もしかして着替えとか見られているとか?
あの色気の無い身体を?
「………何を勘違いをしている。俺はそういう趣味はない。」
顔に出ていたのか、男は呆れたように息を吐いた。
カチーン!
そうですよね、子供より大人の女性の相手がいいですよね。
大人の経験も出来るし、自分の目的も果たせる。
一石二鳥ですものね。
なんで、私は怒っているんだろ。
「結衣。」
呆れたような、少し笑いを含むような、よくわからない声で名前を呼ばれた。
一瞬だけ心臓の高鳴りがなる。
あの男が何を考えているのか、いまだにさっぱりわからないけど、どうやら初恋ってのは消してくれないらしい。
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