講説師匠

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翌朝の事です。 先生と私が朝食を食べ終えた頃の時刻でした。 いつもより早く、玄関から白井さんの声がしました。 白井さんが早朝から来られるのは締切日だけで、今日はその日ではありませんでした。 私は玄関へと向かいました。 玄関には白井さんともう一人、背の高い痩せた男の人が立っておられました。 私はその方に頭を下げました。 「あ、彼は社会部の串田君だ。帝大で漱石先生の講義を取った事のある人間だ」 「串田です」 背の高い串田さんは私に深々と頭を下げられました。 「こちらは要君」 白井さんは私を紹介して下さいました。 二人を連れて私は食堂に入りました。
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