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「私が見たのは間違いなく小達淳一郎ですよ、奴の顔は知ってますから。新聞でよく見ますからね！」
島田は憎々しげに答える。
小達淳一郎はまだ二十代の筈だが、今まで散々悪事に関わり、新聞沙汰になったことは、一度や二度ではないのだ。
間宮は淡々と質問を続けていく。
「間違いないのですね。小達淳一郎と断言できるのですね？」
「もちろん！ 帽子を目深に被ってましたが、あの有名な顔の傷がはっきりと見えました」
「淳一郎氏の顔の傷痕は右頬、 左頬、どちらにありましたか？」
島田は「左頬ですよ」と即答する。
「それは、さっき警察署で確認された時に見たものではありませんか？ 今朝あなたがここで目撃されたのは、間違いなく、左頬に傷がある男だったでしょうか？ 右頬ではありませんか？」
「左頬だ、間違いない」
島田はきっぱり答えた。しかし、そのあと急に自信無げになった。
「いや、右だったかもしれない。いや、やはり左だ」
「あなたがどういう状況で小達を見たのか、もう一度最初から確認してみましょう」
間宮は困惑している島田に優しく言った。
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