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牧生が拾ったハンカチには、べっとりと血…らしきものが付着していた。
「らしきもの」というのは、なずなは生まれてこの方12年間、流血沙汰の怪我なんかしたことがないからホンモノの血を見たことがなくて断言できないと言うだけで、大方これは血液である。
赤黒くてカピカピに乾いていた。
「や、やめようよ。何これ。怖い…」
本心がぽろりと出る。
血塗れのハンカチなんて「怖いもの」だし「触ってはいけないもの」に決まってる。
何で牧生はこんな女の子みたいな顔をして、あんな怖いものを触れるんだろう。ちょっと信じられない。
それに、なんでこれが松丘――松丘里帆のものだとわかるのだろう。
「え?持ってたよね?松丘。このハンカチ。」
牧生はきょとんとしている。
みんながみんな、君みたいに名探偵コナンばりの記憶力を保持していると思うなよ。
(牧生の親は医者で、その遺伝なのか彼はずっと成績がいい。中学受験のため日々勉強に勤しんでいる)
心の中で毒づきつつ、ハンカチをマジマジと見る。
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