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松丘、今日休みだって。
と昼休みに牧生からの報告を受けた途端に、なずなの体は職員室に向かって走り出していた。
でもどんなに駆けつけたい気持ちが強くあっても、勝手に早退なんかできない。
ママに報告が行って、面倒なことになるだけだ。
永遠とも思える放課後までの時間を一人、学校で過ごす。
話しかけてくる者もないから、本当に一人だ。
でもよくよく考えたら、勉強中は一人だし、別に友達がいなくとも、何かを言われていようとあまり関係ないなと気づいた。そう思うと、あれほど苦痛だった「孤独」も気にならず、全ては自分の在りようで変わるのだとまざまざと思い知る。
5時間目の終業のチャイムと共に、ランドセルを掴んで教室を飛び出した。
「なずな!松丘んとこだろ?俺も行くよ!」
背後で牧生の声が聞こえたので、くるっと振り返って
「大丈夫!牧生は来なくていい!」
と断って、また踵を返した。
早く早く、松丘のところへ。
こうしている間にも、松丘は――。
まさかそんなことない、そうでないと思いたい、そんなことあるわけない、でももしかしたら…。
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