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『一位になった男の子は、三年連続で優勝したみたいです。多分ですが、今思えば大きな大会への前哨戦みたいな感覚だったのでしょうか。当然のような顔で表彰台に立っていたのを覚えています。
二位になった男の子は、悔しさからか涙を滲ませていました。ゴールしたあと地面を拳で叩きつけると、そのまま姿を消してしまい、結局学校の先生が宥めながら連れてきました。
無表情に近い、味気ない顔をした一位の子と、なんだか自暴自棄な感じの二位の子が並ぶ表彰台で、三位だった三武郎の顔を見た僕は驚きました。
三武郎は、満面の笑みで、一人だけ喜びを噛み締めていたのです』
よし。ここから、感動に持っていこう。
笑いあり、感動あり。ちょうどいいバランスだ。
自然と身に付いた感覚に、大人になったことを実感した俺は、勢いに任せてペンを走らせる。
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