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しれーぬ
その異国情緒は和風のたたずまいに紛れ込んでいた。くすんで朽ちた木造長屋の一角。往時の生活感が死後硬直している。それなのにときおりファッション雑誌から抜け出たような別嬪が訪れる。木戸を開け閉めする間だけ嬌声が漏れる。
あまり知られていないことだが、ここには暗渠から解放されたせせらぎがある。長屋の裏は雑木林に囲まれて様子をうかがうことはできない。店の名前は「食事処清零縫(しれーぬ)」というらしい。
そんな切り取られた非日常に人間模様がうずまいている。
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