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真夜中のドア
『真夜中のドア』
一人でいるのがいい。
気楽だし、自分のことだけ面倒見ていれば何も困りはしない。
他人と係わるのは、ほんとうにうんざりする。
ああだこうだと自分勝手なことばかり言い、干渉してきてものすごく煩わしい。
でも、とりあえず表面上は取り繕う。
そうでもしなければ会社でお給料を貰うことも出来ないし、自分を養っていくことも出来なくなる。
だから私は自分をガードして生きる術を身に付けた。
平凡、素直さを装い、愛想を心掛けていれば、その他大勢の中の一人として埋没することが出来る。
要は無関心でいること。心を込めなければいいこと。
言葉や態度なんて演技でどうとでもなる。
所詮、人付き合いなんて上っ面だけのものだから誰も気が付きはしない。
他人の愛情やおせっかいなんて鬱陶しいだけだ。
一人でいれば自分だけの物差しで物事を見ていればいい。
政治も世間の事件やもめごとも、社内の人事や方針、恋愛事に派閥、噂話も一切自分には関係ない。
ただ傍観していれば自分には何の火の粉も降りかかっては来ない。
所詮、人間なんてこの世でいちばんやっかいで身勝手な生き物なのだから……。
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