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「野良猫に餌やってたんすね」
「やってませんっ!」
この街は条例で野良猫への餌付けが禁止されている。だからみずほ先輩の行為は条例違反だ。
「でも、手にブツを持ってますよね」
「こっ、これはわたし専用のおやつですっ!」
そう言って魚肉ソーセージを一気に口の中に押し込めた。二匹の子猫はぎょっと目を見開き、世界が終わるような顔。まさに生き証人である。
「猫は自分のだと思ってたみたいっすよ。それにストックがあったから常習犯なんすね」
「うっ……」
「別に誰にも言いませんから」
上履きのまま勢いをつけて窓を飛び越える。
「だいたいみずほ先輩、学校の未来は先輩が握ってるんですからね。猫と遊んでる暇ないっしょ」
「わかってるわよ!」
そう、みずほ先輩は生徒会長選挙を控えている身なのである。だから今日は現生徒会長を交えた作戦会議が組まれているのだ。
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