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「変な疑いをかけて、すみませんでした」
私は美村先生に頭を下げた。
私も美村先生のこと、見た目で判断していたみたいだ。
若い男の子が好きなチャラチャラした先生だって勝手に苦手意識を持っていたけど、本当の先生はそういう人じゃない。
生徒たちに話しかけていたのは生徒たちの関係を把握するためで、差し入れも養護教諭として生徒の体調を気遣っていただけだったのだ。
「つまり、俺がバカだから張り切りすぎるんじゃないかって先生は心配して、アイスも他のみんなと取り合いにならないバカを選んだ……というわけですね! うわ、めっちゃ納得!!」
陽向は自分がバカだって言われたのに素直にうんうんと首を上下に振っている。
「ああ〜もう、陽向くんは本っ当にかわいいね! 私も高校生だったら陽向くんと堂々と付き合えたのになあ。残念残念」
「えっ?」
いや、やっぱり見た目通りの人なのか?
陽向の頭をなでなでしたがる美村先生を見て、私はまた分からなくなった。
「まあ、また何か困ったことがあったらいつでも相談に乗るから」
「ありがとうございます」
「あなたもよ、景山さん」
先生が私を見て微笑む。
「あんまり無理しないでね」
「……はい」
無理しているの、バレてる。
養護教諭の目はやっぱり鋭い。
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