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陽向の笑顔が眩しいと気づいた時から、幼なじみだというだけで無条件に彼の隣にいた自分に、私は疑問を持つようになってしまった。
陽向の隣にはもっと相応しい人がいるんじゃないかと思い始めてしまったのだ。
それからこうして距離を置こうと頑張っているのに、鈍い陽向はそれに全然気づいてくれない。
するとその時だった。
突然、陽向はあのセリフを口にした。
「あのさ。ちょっと昴に聞いてほしいことがあるんだけど」
「え、やだ」
「何で言う前から断るの⁉︎」
「なんか面倒くさそう」
「昨日、部室で寝ていたらさ、急に誰かにキスされて」
「はあああっ⁉︎」
私は思わず立ち止まり、拳をブルブルと震わせた。
「私、今、面倒くさそうだからやだって言ったよね! 聞いてなかった⁉︎ 何で言っちゃうの? ってかさ、なんなんその告白! えっ、どういうこと⁉︎」
「ごめん、俺もパニックでどうしたらいいか分かんなくてさ。どうしよう、昴」
「知るか! 私に聞くな!」
私はダッシュで陽向を置いて行こうとした。
けれども、その手首を陽向に掴まれる。
「……犯人、知りたいんだ。探すの手伝ってくれないか?」
さすがバスケ部、動くものをキャッチする能力めっちゃ高いな。
人生最悪の日の始まりに、私は何故かそんなことを思った。
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