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気づいたこと①
「おかしなこと?」
「……うん。俺さ、昨日、家に汗拭き用のタオルを一枚忘れていったんだよね。それなのに、目が覚めた時、なぜかそのタオルが顔の上にあったんだ」
私はちょっとドキッとした。
なぜなら、その件は私にも関わりがあるからだ。
「そのタオルだったら、私が昨日の朝おばさんから預かったよ?」
それは昨日の朝のこと。
朝練で先に学校に行ってしまった陽向とは違って、朝は遅刻ギリギリで登校している私に、「ちょっとちょっと、昴ちゃん!」と陽向の母親から声がかかった。
「あのバカ、これを忘れていったの。悪いけど学校まで届けてくれない?」
「あ、はい」
陽向が忘れ物をした時はいつも私が持っていく役目を負わされる。
これも幼なじみの宿命というやつだ。
「……で、昴はそのタオルをどうしたの?」
「学校についてすぐ部室に寄って陽向のロッカーに入れておいたけど?」
「おっかしいなあ。部活始まる前にロッカー開けたけど、その時にはなかったよ?」
「それってもしかして……犯人に盗まれてたんじゃない?」
私の言葉に、陽向は「ええっ⁉︎」と派手に驚いた。
「なんで⁉︎ 何のために⁉︎」
「そりゃあ、陽向の持ち物が欲しかったんじゃない? あ、想像したらなんか怖いね。ストーカーみたい」
バスケ部の部室がある別棟は校庭の一番奥まった所にある。別棟には他にも野球部やサッカー部のような運動部のための部室がいくつかあり、鍵などはついていない。誰でも出入り自由だ。
「つまり、犯人は朝私が置いていった陽向のタオルを部活が始まる前のどこかのタイミングで盗んで肌身離さず持っていたんだけど、キスした時に陽向が目を覚ましそうになったから、慌ててそれで目隠ししたんじゃない? 自分の顔を見られないようにするために」
我ながら、なかなか辻褄の合っている話だと思う。
「他に気づいたことはないの?」
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