『おめでとうございます』

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 名前を知っているだけの女神たち。  これは夢? 夢なら早く覚めて――と、クローソーたちに気付かれないように頬の内側を噛んだ。 (――痛い)  ただ、ゲームの攻略サイトを見たかっただけなのに意味がわからない。 「えっと、つまり、どういうこと?」  若干どころかたぶん全力でジト目になっているよ私。でも、聞かずにはいられなかった。  女神たちは少し悩んでから、にっこりと笑顔を作る。 『ぱんぱかぱーん!』 『おめでとうございます!』 『あなたに転生の権利を差し上げます!』 「いりません! ってか、私って死んじゃったの!?」  ついついノリツッコミをしてしまう。  全然、おめでたくない。むしろ、女神たちの頭がおめでたいんじゃないかと思う。  ――言わないけれど。 『まあまあ、好きな設定で転生させることができますから』 『何せ私たち、運命の女神ですし』  へらりと笑うクローソー。そしてラキシスもくすくす笑うと得意気に胸をそらす。 「いやいや、いらないです。結構です。そもそも私はゲームの攻略サイトを」 『あなた、ツンデレってやつ? つべこべ言わずにあたしたちに任せなさいよ!』  一番年下の妹、アトロポスの手には巨大なハサミが握られている。
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