5人が本棚に入れています
本棚に追加
しゃきん、しゃきんとハサミを動かすアトロポス。
(――人の話を聞けよ!)
女神たちに悪態をつくわけにもいかず、心のなかで盛大に叫ぶ。
『あなたの願いを』
『このモイライ3姉妹が』
『叶えてあげるわ!』
アトロポスが巨大なハサミを私に向けた。
彼女は運命の糸を断ち切る女神――つまり、寿命を刈り取ることができる。
『さあ、運命を断ち切って次の運命を紡ぐわよ!』
――しゃきん。
私の頭上にある運命の繰り糸を、アトロポスはその巨大なハサミで切り取った。
プツリと切れた糸にクローソーが手を伸ばし、新たな糸を紡いでいく。
3女神の笑い声を聞きながら、私は意識を闇に落とした。
▽▲▽
気が付くと白い天井が目に映る。
――嫌な夢を見たなぁ、と体を起こした時、異変を感じた。
「うそ、ここ、どこ?」
てっきり自分の部屋だと思っていたのに、全然知らない部屋だった。
慌ててベッドから飛び起きると、1人の少女が目に入る。
「起きたのね」
眩い金髪に紫水晶の瞳の美少女。
初対面のはずなのに、何故か見覚えがある。
「誰?」
私の問いかけに紫水晶の瞳が揺れた。
最初のコメントを投稿しよう!