『おめでとうございます』

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 しゃきん、しゃきんとハサミを動かすアトロポス。 (――人の話を聞けよ!)  女神たちに悪態をつくわけにもいかず、心のなかで盛大に叫ぶ。 『あなたの願いを』 『このモイライ3姉妹が』 『叶えてあげるわ!』  アトロポスが巨大なハサミを私に向けた。  彼女は運命の糸を断ち切る女神――つまり、寿命を刈り取ることができる。 『さあ、運命を断ち切って次の運命を紡ぐわよ!』  ――しゃきん。  私の頭上にある運命の()り糸を、アトロポスはその巨大なハサミで切り取った。  プツリと切れた糸にクローソーが手を伸ばし、新たな糸を紡いでいく。  3女神の笑い声を聞きながら、私は意識を闇に落とした。 ▽▲▽  気が付くと白い天井が目に映る。  ――嫌な夢を見たなぁ、と体を起こした時、異変を感じた。 「うそ、ここ、どこ?」  てっきり自分の部屋だと思っていたのに、全然知らない部屋だった。  慌ててベッドから飛び起きると、1人の少女が目に入る。 「起きたのね」  眩い金髪(ブロンド)紫水晶(アメジスト)の瞳の美少女。  初対面のはずなのに、何故か見覚えがある。 「誰?」  私の問いかけに紫水晶の瞳が揺れた。
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