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その小さなプラスチックの箱は、雑多なガラクタが詰まった段ボール箱の中にて燻んだ色合いを放っていた。
何だこれ?と思った俺は、それを取り出してしげしげと見詰める。
それは、カセットテープのケースだった。
俺はそのケースを開く。
小さく軋むような音を立ててケースの蓋が開く。
埃っぽい臭いが辺りに漂う。
中に入っていたのは透明のカセットテープだった。
その大きさはスマホよりやや小さい程度だろうか。
中に納められた二つのリールに黒い録音テープが巻き付いている。
黄ばみかけたラベルは貼ってあるものの、それには何も書かれていない。
このカセットテープに何が収録されているのか全く分からない。
そもそも俺は、これまでカセットテープを使った覚えなんて無い。
これは一体何なんだ?とぼんやり考え込む。
そう、今の俺には時間など、もういくらだってあるのだ。
多忙だったこれまでとは違って。
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