図書委員長と入学式

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……ん、 コツンと誰かに小突かれた肩。 せっかく気持ちよく寝ていたのに起こされて気分はジェットコースターみたいに下がっている 「………」 なんで口ぱくぱくしているのかな。 金魚の真似? …あぁ 耳栓をとって、起こしたであろう男に声をかける 「なにか用かな、暁くん せっかく気持ちよく寝ていたのに…」 保体委員長暁くん 彼を言葉で表わせと言われたら ガラが悪い、威圧感がえぐい、視線で人殺せそう、エトセトラエトセトラ 新入生とか、大人しめな生徒は彼に近づこうとはしないね まあ必然って感じかな だって、どこからどう見たって完全に殺人k 「今ゼッテェ失礼なこと考えただろ」 「嫌だな、ガラ悪くてどう考えても人殺したような顔しているなと思っていただけさ」 「バリバリ考えてんじゃねえか潰すぞ」 「それを言い続けて実行できていないのはどこの誰かな?ん?俺の目の前にいる気がするけど。見間違い?」 「……チッ、うっせえよ」 俺の首にやっていた手をさらに引き寄せて、自分の胸元に俺を閉じ込める …んー、いつものことだけど距離が近い そして熱い、暁くん体温いつも高すぎだよ 「熱苦しいから少し離れてくれないかな」 「バーカ、嫌って言われたらもっとしたくなるだろ」 「相変わらずいい性格してるよね君は。 全く、冗談は顔だけにして欲しいよ」 「テメェもなワタル」 「「……」」 しばらく言葉が出なくて暁くんと見つめあう エンダーイヤー流れてきそうと思うところだけれど、実際はどこかからか「尊い」ってお経が聞こえてきていた 何故だろう すごく姉さんと同じ気配を感じる 「続いての役員様はァ!! 常に微笑みを浮かべていらっしゃる麗人!!本を読むそのお姿はまさに絵画!!! 図書室で騒ぐ……え、あ、ヤッべ尊、鼻血が………室屋渡!!!!」 俺の番か。 暁くんの拘束から抜け出し役員席から立ち上がって、壇上へと向かう。 コツコツと靴音が会場に響いた うん、みんないい子だね 在学生の子たちが俺が騒がしいのは好きじゃないってことをよく理解してくれていてよかった。新入生も合わせてくれる素直な子ばかりで嬉しいな にこり___いつものように微笑んだ 「新入生、入学おめでとう。 紹介にもあったとおり、俺は図書委員長を務めている室屋渡さ」 「図書館ではもちろんだけど本を読んだり、勉強したりすることができる。いつでも利用可能だけれど、返却期間は厳守だからね」 「貴重な蔵書とかがあるエリアもあるから、そこにある本は絶対に館内から持ち出したり汚したりしないように。」 「…あぁ、それと図書館ではお静かに もし騒ぐ子がいたら…… ふふ、少し二人っきりでお話することがあるから、そのつもりで。」 「な?」 念押しとばかりに、滅多に開いているようには見えない糸目の目を開けて、手に人差し指を添える 「おおきに室屋先輩 では、これ以上いたいけな新入生の身の安全のためにもお早う壇上をおりていただいてもよろしいでしょうか?」 アナウンス席をの方を見ると、ダラダラと鼻血を出して両手を胸に添える堂園くんに変わり、蓬莱くんが司会をしていた 身の安全……? 光が眩しくて、よく会場を見ていなかったけど、生徒の席が少し大変なことになってる 特に酷いのが新入生の番号が早い子たち 崩れ落ちてる子もいるし、前屈みの子もいる ん?ボサボサ髪のあの子掌合わせて拝んでない? 呪詛はあの子か? あ、担任と目が合った 「またお前か」って顔してる うーん、ただ口に人差し指添えて首を傾けただけなんだけどな 顔が整ってたらなんでも危険物なのか あれ、じゃあほかの役員も同じじゃないか? 最初少しだけ見てたけど煌希会長の時とかかなり凄かったよね 俺にだけそんな呆れた反応するのはいけないと思うな担任。平等って大切だよ さて、こんなところに突っ立っていても邪魔だね。蓬莱くんの指示通り早く席に戻ってゆっくりとn……いや、なんでもない。 別にまた寝ようなんて思ってないから
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