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図書委員長とワンコちゃん※
「……ん?どうした?」
「………」
会議が終わって部屋に帰ってきたところなんだけど、ご飯を作りに行こうとしたら突然抱きしめられた
んー、困った……俺早くご飯作りたいんだけどな…
「河崎くん?少し離してくれないかな。ご飯を作りに行きたいんだ」
「…………て」
「ん?」
「俺、言うこと聞けない、悪い子だったから」
「から?」
「お、お仕置してくださいぃ……♡」
さっきまでの無表情はどこへやら
俺をとろんとした目で見つめ、頬を赤く染めている。俺の腰あたりに押し付けてくる体には確かな硬さを感じた
あちゃー、こうなっちゃったか
何故か、河崎くんは俺だけに対して、なんというかその……かなり大胆でドMなんだよね
SでもなんでもないNの俺だけにこうなるのはなんでかな……一生の謎だよ…
「河崎くん」
やんわりと抱きしめている腕を離し、頬を両手で包んだ。すーっと顔を近づけていくと、河崎くんはギュッと目をつぶって心の臓をさらに鼓動させている
んー、タチって言うより猫って感じだ
ネコじゃなくて猫ね。動物の方
この子は自分にだけ懐いてくれる猫。愛され方はともかく可愛がりたくなる
徐々に近づいていく2人の距離。
次第に2人の唇の影はひとつになって……
「悪い子にご褒美をあげる訳にはいかないかな」
いなかった。
耳もとで囁くとびくりと体を震わす河崎くん
にこにこと見つめると、捨てられた子犬のような目をされた
ごめんね、河崎くん
でも勘違いしたのは君だし、俺はキスするなんて一言も言ってないからな
やっぱり、求められると焦らしていじめたくなるよね。その求愛に答えてあげる日はあってもかなり先だろうけど
「う、うぅ………つらぃ……ムラムラするッ♡………逆レイプしてくださいぃ……♡」
「やっぱり俺がネコになのか
君にもいつも言っているけど、抱かれる趣味はあいにくと持ち合わせていなくて………っと」
ドサッとソファーに押し倒される体
息を荒々しく吐いている河崎くんの目はギラギラと輝いていた
あ、もしや君は夜を呑んでたりするのかな?
ぼーっと呑気なことを考えていると、河崎くんはそれに気づいたのかムスッと顔を膨らませる
「ハァ、ハァッ……俺がこんないけないことしてるのに…ほかのこと考えるのダメッ!!」
「あぁ、ごめんね、つい猫がじゃれてきたみたいな感じで捉えてしまっていて…」
いつもなら、こうなる前に耳もとで色々囁いて腰砕けさせてから部屋に縛っておくんだけど…………はて、今日はどうしたものか
「はぁ……ハァ…♡……俺の、俺だけの室屋さん♡」
首元に顔を近づけて、匂いをスンスンと吸う姿は、猫から犬へギアチェンジしていた
「そんなに俺の匂いが好きか?」
「はい♡…室屋さんっ♡」
「そうか……………ね、河崎くん」
覆いかぶさっているワンコちゃんの首に腕を回す。顔を見るととても嬉しそうにしてた
目を開けて、にこりと微笑んで、顔を近づけ…
「えいっ」
「ガッ」
ばたりと人形みたいに河崎くんは倒れた
気絶している河崎くんの頭を優しく撫でる
「ごめんな、いきなり手刀なんかやってしまって。でも君が悪いんだからね?」
そのまま自分より大きい河崎くんを横抱きして、彼の部屋へ向かう。布団をかけて丸まった猫を確認すると、静かに部屋を出た
本当は河崎くんにも温かいご飯を食べさせてあげたかったけど…今日は仕方ないな
ラップに包んで置いておこう
翌朝、起きたら自分を抱きしめて寝ている河崎くんがいるのはいつものことだね
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