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図書委員長と担任
「はーい、HR始めまーす。いないやつ手ぇあげろー」
「大迫先生、おらん人は手をあげれへんと思いますが」
「まーまー、どうせ全員いるしいいじゃん」
あくびをしながら呑気に話しているのは俺たちの代のSクラスの担任。大迫慶志(オオサコケイシ)
Sクラスは容姿、能力、家柄が全て秀でている人達が集まる場所。3年役員はみんなここにいるし、各業界のお偉いさんも多い
なのに、こんなにもフットワークが軽い先生は如何にと思う気もするが、おそらく俺たちみたいな媚びられるのが当たり前って部類の人間にはこういう性格の人がちょうどいいんだと思う
こんな大迫先生だけどやっぱり珍しい反応をするのも相まってか親衛隊もいるぐらい人気があるからね
教室でもよくクラスメイトと話しているところを目にするし
1つ問題点があるとすれば……
大迫先生ってノリが大学の実習生だから歳近いと錯覚しがちなんだよね
見た目もかなり若く見えるし
「相変わらずおおざっぱだね大迫先生……ぎゃ、逆に尊敬、かな?」
「んー、たしかに色んな意味で尊敬だな
見習ってはいけない部類の尊敬だけれど」
「いや尊敬どころかただのちゃらんぽらんだろ」
「酷いなツッキー」
「ツッキーって呼ぶんじゃねぇよ大迫!!」
「ごめんって〜ツッキー」
よく暁くんをそんなふうに呼べるね大迫先生
相手は日本でもかなりの規模の極道の跡取り息子だって言うのに
いや、度胸があると言うよりただ楽観主義なだけか?
「テメェ、いい加減にしy」
「サコッチセンセー!!アイハブクエスチョン!!!!」
「んー?なんだぁセッちゃん
質問なら3文字以下じゃないと受け付けませーん」
「鬼畜★」
「しゅーりょー。んじゃ俺職員室行くからあとは好きにやれ、はい解散」
「ちょっ!?慶志くんっ酷いわんっ!!!」
おいおいと泣く堂園を虫けらのような目で見てから、大迫先生は教室を出ていった
しばらく沈黙が広がる教室
泣いていた堂園の顔はチベスナへと化した
「いや俺かわいそすぎて森」
「大迫先生がかわいそうだね」
「だね」
ウンウンとクラスメイトも頷く。あいにくとこの場所に堂園の味方は誰一人もいない
強く生きろ堂園(棒読)
「ちょっくら人権買いに購買行ってくる」
「ついでにタバコ持ってこいバカ園」
「暴君様は舎弟使えよwww全く!俺は目の前の誰かさんみたいに犯罪者にはなりたくnイダダダダダダダッ、竜の鉤爪はやめてぇぇぇぇ!!!」
「俺ァさっきお前のせいで最高にムシャクシャしてんだよ……なあ?堂園。今ここで犯罪起こしてもいいがどうする?」
「スグニモッテキマフ」
「よろしい」
頭を開放されると、ボルト顔負けのスピードで彼は廊下へ走り去っていった
その姿を見届けると、教室内はいつものようにざわめきを取り戻し始める
俺のところにもいつものメンバーが近くへ来て話を始めていた
イツメンは評議会の3年生メンバーの子たちだよ。堂園くんはいないけど……ま、いいか
「はい、お持ちしやした若」
「なんだよコレ」
「ココアシガレット1ダースッス」
「よしきたお前スクラップ決定」
「嘘だ!!!!!!!」
「か〜な〜しみの〜むこ〜お〜へと〜」
「やめぃ蓬莱!嬉しそうに死亡BGMすなァっっ!!」
後ろへ下がっていく豆腐。彼へ笑みを浮かべながらジリジリと近づく魔王、そしてにこにことBGMを口ずさむ撫子
壁にも精神的にも追いつめられた豆腐は、一筋の光を見つけた
「し、時雨たんっ!!キャンアイヘルプミーー!!!」
「おいでやすやんそれ」
必死な顔を向けられる光、もとい時雨くん。
そんな彼は笑顔ではにかんだ
「えっと、……グ、グッドラック?」
「時雨たんんーーーー!!!」
「体育館裏来るのにひよってる奴いるか?」
「おらんね、ほら行こうか刹那」
「嫌だあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」
やっぱり愉快だね。お腹よじれそう
堂園くんは無事に帰って来れるかな?相当暁くんが怒ってるみたいだし…………うん
誰かが助けてくれるのをお利口に待っとこうね。応援してはおくよ、心の片隅で
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