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「幸せ? 何言ってんだ?」
怪訝な顔をする村人に対して、康子は続けてこう言った。
「さっき気づいたんだけど、私って超マゾヒストなんです!
大勢の人に家を破壊されて、その上暴力行為を受けそうになって、絶望的に不幸な気持ちになりました。それなのに、嫌だ、嫌だ、と思えば思うほど、その反動でとてつもない快感の波が押し寄せて来たんです!
嫌だからこそ嬉しい、不幸だからこそ幸せ、このジレンマが心の中で往復するたびに、心臓がどんどん高まって来て、今最高潮!
こんなに多幸感を噛み締めることは絶対に一生無いわ。ありがとう、今私は世界一の幸せ者です!」
康子が超ド級の幸福を感じたことにより、その瞬間、案山子村が一年間に享受する幸福量を大幅に上回った。そして ”災が訪れる”という言い伝えの通り、案山子村の面積とピッタリ同じサイズの隕石が墜落した。
村人達は「世の中には色々な人がいるから、幸福の感じ方も人それぞれなんだなぁ。多様性の時代ですね!」と思いながら、粉々のチリなっていったそうな。
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