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『ドアの前にまた貼ってあったぞ』
『お、宇和島。今日は何と?』
話は再び5年前に戻る。立花のチームは日に日にその存在感を増しており、その行動力から却って経営陣にも一目置かれるようになった。しかし、それだけ彼らを疎ましく思う存在がいるのも事実だった。
『今日はシンプルに「裏切者」だね』
『ほう、3日ぶりだなあ。ハハハ!!』
そのような逆風など、とうに想像できた彼らからしたら何ということはない。だが一方で、妨害は少しずつ度を増していった。
『金城! 俺たちに嫌がらせするとはいい度胸だな!』
貼り紙から、やがて直接言葉を浴びせられるようになる。
『行動しない負け犬が何か吠えている』
『何だと!?』
『口だけは達者ですな。その労力を仕事に使っては?』
彼らに全く響くことはなかった。むしろそれが誉れとすら思っていた。誰にどう言われようと、提言の内容には絶対的な自信があった。自らの心が折れさえしなければ、我々は閉塞感漂う国に未来をこじ開ける革命の戦士である。
『ふーん、そうか……やはりこんな子供だましでは効かんか』
それは彼も感じ取っていた。
『いかがしましょうか、御門常務』
『まあ、それが彼らの強みでもあり、弱みでもあるか』
地を這うような笑いが彼の部屋に響く。
『少々強引な手、使ってみる?』
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