第2部「起点」

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『おい見ろよ、立花だぜ』  いつもと何かが違っていた。己を見下すような視線は以前から慣れていたが、その日、立花は違和感を抱かざるを得なかった。貼り紙も『口だけ番長』『臆病者』とこれまでにない区分のものである。  ドアを開けた。オフィスの空気はかつてなく重く、冷え切っていた。 『……どうした』 『やられたよ』  とりわけ苛立ちを隠せない宇和島が一枚の紙を彼に見せつける。それは立花が発したとされるチームの『解散宣言』だった。 『……こんなの出した覚えはないぞ!』 『そんなのは分かってるさ。だが、周りは信じ切っている。これじゃ俺たちが何をやろうと無力化されるだけだ』  金城がふと呟く。 『それ相応の人がこれを出したということでしょう 『誰だそいつは』 『分かるでしょうに……御門常務ですよ』 『私もそう思います』  後藤も同調した。 『今の指針を作ったのは御門常務です。権力基盤を固めるなら何だってする。社員にも人事権をちらつかせて手を回してるんでしょうね』  テーブルを叩き、宇和島が飛び上がる。そのままドアノブに手をかける。 『御門の野郎、ぶっ潰してやる』 『宇和島さん、危険ですって!』 『このまま黙っていられるわけねえだろ! 多少暴れてでも!』 『待った!』  彼らを束ねる者として、立花は宇和島を制止する。 『俺が行く。俺が話をする』
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