第2部「核心」

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「なにニヤニヤしてんだ葛城!」  しかし、さゆりの矛先は次に葛城へと向かった。咄嗟に彼の後頭部を叩く。 「デリカシーのなさも大概にしなさいよ!」 「そうよ葛城君! そもそもこんなメンツを呼ぶあなた、どうかしてるわよ!」  葵も合流する。 「地獄のような雰囲気じゃない! ゴルフどころじゃないって!」 「はっ! スコア81のダントツトップがよく言うわ!」 「関係ないでしょそれ!」  しかし再び姉妹でぶつかる。 「大ありよ! 一人ぶすっと黙ってるくせに何上手くやってんのよ!」 「集中するしかないでしょ!」 「少しは下手な姉を敬いなさい!」 「ここで姉妹を振りかざしてくるの!? 信じられない!」 「私だって一長一短あるの! ほら葛城も黙ってないで何か言いなさいよ!」 「そうよ! そもそもあなたが!」  いよいよ長津田は耐えられなかった。 「アッハッハッハ!!」  笑い声が山奥にこだまする。 「めっちゃしゃべるやん! なんだかんだでやっぱり姉妹」 「お前は黙ってろ!」  葵にぴしゃりとやられた。急に縮こまる。  対して葛城はようやく2人の方を振り向いた。 「その調子なら大丈夫そうだ」  あの鼻につく微笑を浮かべ、彼は続ける。 「さて、本題です」
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