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汗で湿った先生の手。
その手に引かれて、タクヤは寝室へと足を踏み入れる。
リビング同様、物のないその部屋には巨大なベッドが一つ、とてつもない存在感を放っていた。
「うわ、でっか! これ何サイズですか?」
「確か……キングサイズ、だったかと」
「ですよね、だってホテルのやつと大差ないもんな。いやむしろそれ以上?」
タクヤはそんなことをぺらぺらと喋りながら慧のベッドに腰掛ける。
「いやいや座り心地も全然違うわ……これ、なんとかスリーパーみたいなの使ってます?」
「いや、特には……」
「じゃあマットレス自体がいいんですね、俺も先生と同じやつにしようかな。ちなみにどこのメーカーの――」
「タクヤさん」
「はい? ……っ!」
いきなり降ってきた口づけ。おしゃべりはもう終わりだとでも言うみたいな、強引なキスだった。
先生の厚めの唇がぴったりとタクヤの唇を覆う。
「ぅっ……、ン……っ!」
角度を変えて、何度でも貪られる。全て飲み込まれてしまいそうなキスは、タクヤの冷えた身体に、いとも簡単に再び火を灯す。
慧はタクヤに覆い被さると、そのままだだっ広いベッドに縫い付ける。
ぱさりとシーツに広がったタクヤの髪。うっすらと明けてきた外の光が、わずかなカーテンの隙間から差し込んでは燃えるような赤を引き立たせる。
「ぁっ……」
ことさらゆっくりと離れていった唇が名残惜しくて、思わず舌で追いかけそうになる。恥ずかしくて顔を覆いたいのに、先生がそれを許してくれない。
「タクヤさん……」
吐息交じりに耳元で囁かれ、タクヤは身体をぶるりと震わせる。
そのまま、彼の唇はタクヤの首筋へと滑り落ち――
「ん……っ」
鎖骨の下、タクヤのいつも着ている服だったらぎりぎり見えてしまいそうな位置に慧はきつく吸い付く。きれいに付いた赤い痣に、慧は誰にも――いや、タクヤになら分かるかもしれない笑みを浮かべると、彼に貸したぶかぶかのパジャマのボタンを上から一つずつ、丁寧に外し始めた。
先生の指が胸を擽る。そのたびに、もどかしい快感が全身に降り積もっていく。
少しずつ慧に晒されていくタクヤの張りのある胸。それが全て露わになる前に、慧はその色付いた頂に唇を寄せた。
「あっ……!」
タクヤが仰け反り、身体をわななかせる。慧はその浮いた腰に手を差し込むと、迷わずズボンのゴムへと手を掛けた。
パジャマ同様タクヤには大きすぎるそれは、何の抵抗もなくずり下がりタクヤの太腿をあらわにする。
さっきコンビニで買っていたグレーのボクサーパンツ。そこには既にシミが出来ていて、彼もまた興奮していることをまざまざと見せつけていた。
「んん、ン……っ!」
声を堪えたいのか、タクヤは唇を噛み締めている。
それでも、立ち上がった乳首を舌先で弄ぶたび、彼の背はさらに反り、声はより高く甘く掠れていく。
慧はいよいよ耐え切れず、タクヤの太腿に這わせていた手を後ろへと滑らせた。
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