Leave it to you!

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「あっ、はぁっ、あ、んんっ……!」 久々に聞く、やわらかく蕩けた声。 ぐぷぐぷと粘度の高い水音もまた、彼の足の間から漏れ聞こえている。その音を立てている張本人である慧は、器用に指を動かしながらも、その目線だけはタクヤの顔から外せないでいた。 「やだ、みないで……っ」 そう言われても聞く気になれず、顔を隠そうとする腕をタクヤの頭の上に縫い付ける。 ぴくぴくと細かく身体を震わせ、快感に頬を染めて素直に鳴くタクヤ。その姿はいやらしいのにどこかあどけない。彼が自分より年上だなんてまるで信じられないほどで、慧は触れてもいない自身がいっそう臨戦態勢になっていくのを感じていた。 「あっ、せんせ、おれ……っ」 ぎゅっと目を瞑って喘いでいたタクヤが、ほんのわずかだけ目を開ける。 涙の膜の張った瞳で見つめられ、慧の体温は更にぐっと上がった。 「あ、だめ、いきそ、っ……!」 タクヤの呼吸がどんどんと短くなっていく。 「あ、だめ、いく、いくっ、イっ、……~~ッ!!」 ぷしゃ、と勢いよく吐き出された白濁が、タクヤと慧の胸へと激しく飛び散る。 「……ッ、はぁ……ッ、ぁっ……」 呼吸を必死で整えながら、余韻に浸っているタクヤ。 慧は傍に置いておいたゴムのパッケージを性急にちぎって中身を取り出すと、完全に育ち切った自身に装着する。 「……っ、せんせい……」 振り乱した髪の間からのぞく、タクヤの目。 ふやけた表情はさらに涙に濡れ、それでもこれから始まることを待ち望んでいるようにも見えた。 「タクヤさん……」 完全に彼の身体の上を覆うように跨る。 涎で濡れた真っ赤な唇。それに再び口づけすると、タクヤが背中へと両手を滑らせてくる。 唾液を交換するような深いキスを交わしながら、慧は反り立った自身に手を添え、タクヤのひくつくそこへと押し当てる。それだけでタクヤのくぐもった喘ぎが零れて、慧は慌ててふぅ……と荒々しく息を吐いた。 そのまま深く貫きたい。貫いて、揺さぶって、鳴かせて……本当に彼の身体も、そして心も手に入れたのだと確信したい。 「思いっきり、抱いてください」――彼だってそう言っているのだ。だったら―― 「タクヤさん」 今日既に何度そう呼んだことだろう。 その名前を呼ぶたびに、胸の中に募る、温かいもの。 下から見上げてくれるタクヤ。その赤い目元に微笑みかける。 「愛しています、ずっと」 既に何度か伝えてきたその言葉。慧にとって、それはいつでも真実でしかなかった。 だからこそ、もう一度ここで伝えたかったのだ。 「じゃあ、いきますね」 慧は重量感のあるそれを改めてタクヤのそこに宛がうと、ぐぐっ……と切先を埋めようとした。 が、そのとき。 「あっ、ま、まって……せんせい」 タクヤの喘ぎ交じりの声。再びの、しかもこのタイミングでの「待て」に、慧もつい恨めしげな目でタクヤを見てしまう。それでもちゃんとタクヤの言うことを聞く辺りが先生らしく、タクヤはそんな彼にふにゃりと笑いかけた。 「俺もです、せんせい」 夜の空のような、海のような。そんな瞳をまっすぐに見つめ返す。 「俺も……愛してます、ずっと」
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