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「ん……」
乾いたシーツの上、タクヤはもぞもぞと寝返りを打つ。
なぜだか分からないが、とにかくひどく疲れていた。頭は覚醒し始めているのに目を開けたくない。
ほどよく効いた空調と、外の光の入らない真っ暗な室内。そのおかげで、まだまだどこまでもベッドの住人でいられそうだ。
でも、どうしてこんなに身体が重いんだろう。というか、ここはどこだろう。
昨日、何があったんだっけ……
「……っ!!」
タクヤはぱちりと目を開ける。そして、バッと顔を両手で覆った。
「マジか……」
……と、がちゃりと扉の開く音。
タクヤは指の隙間から、その音の方へと恐る恐る視線を向ける。
そこにいたのは、びしりとスーツを着込んだ慧だった。
「あっ、目が覚めましたか」
慧はすたすたとこちらに向かって歩いてくる。まるでデジャブのようなこの感じ。
タクヤは思わず、彼に背を向けるように横になってしまった。
「タクヤさん……その、身体、大丈夫、ですか」
隣にしゃがみ込んだらしい慧は、彼のいつもの低い声でそう尋ねる。
大丈夫か、だなんて……そんなわけあるはずない。
この通り全身の疲労感は凄まじいし、身体の節々も痛い。何より……腹の奥、感じたことのないざわざわとした違和感がずっと続いているのだ。
でも、先生の罪悪感たっぷりの声を聞いてしまえば、そんなことは口が裂けても言えそうになく。
「大丈夫、です」
タクヤはどうにかそう呟くと、身体をさらに胎児のように丸めた。
「そう、ですか……」
慧の声が沈んでいく。それにこちらも罪悪感を覚えないではないが、タクヤは彼の方を向く勇気は無かった。
まざまざと思い出されるのは、あの後のこと……
「もっと奥……来れますよね?」――タクヤの挑発じみたその台詞に、慧は何度も「いいんですか?」と念押ししてきた。それで、面倒になったタクヤが「いいから早くしてください!」とキレた……ところまでは、まだ、良かった。
「じゃあ、本当に……いいんですね?」
「だからいいって言って――」
「いきますよ」
先生の手が、がしりとタクヤの腰を掴む。そして、めりめりと内壁を抉るように、彼の怒張が奥をめがけて突き進んできた。
「ぅ゛、~~~ッ!!」
先生の動きはあくまで慎重だったけれど、しかしそもそものブツが規格外なのだ。未知のところをこじ開けられ、身体が真っ二つになってしまうような、そんな錯覚まで感じてしまう。
(やばい、死ぬ、死ぬ……っ!!)
冷や汗をだらだらと垂らしながら、タクヤは朦朧と命の危険まで覚え始めていたのだが。
「く、う……っ、はぁ……ッ」
後ろから聞こえてきた、先生の声。
その声は、まさに初めて先生と身体を合わせたときみたいに、どうしようもないほどの興奮に満ちていて。
「……っ」
それを聞いただけで、堪えがたい恐怖と異物感で固まっていたタクヤの腹の奥が、またずくんと熱さを取り戻す。
そして一度、あの疼きを思い出してしまうと、後は、もう――
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