Leave it to you!

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「はぁ……」 タクヤはまたもため息を零す。でも、それは半分は身体をまた苛んでくる熱を逃がすためだった。 あの後のことは本当の本当に思い出したくない。 先生はタクヤのことを可愛いと思っているようだが、あの後の自分はまるで獣だったと思う。涎を垂れ流して、だらしない顔をして……後ろからの体位でこれほど良かったと思ったことはない。 ……こんな姿なら、知らないでいてくれた方がよっぽどマシだった。 (このマンションってどこまで隣の音、聞こえるのかな……) 「タクヤさん」 「……うわ!!!」 いつの間にか正面に回っていた慧に顔を覗き込まれ、タクヤはびくんとベッドの上で身体を跳ねさせた。 「今、考えられていることって……昨日のことですよね」 「えっ」 「その……嫌、でしたよね、やっぱり……」 慧はサイドテーブルに水のペットボトルを置くと、タクヤの返事も聞かずベッドに背を向けた。 「あの……何か食べるもの、ここに持ってきますね」 「い、いや……大丈夫です」 「そう、ですか……」 先生の立ち去る足音にも力はなく。 彼の方を見なくたって、きっと叱られた犬のようになっているのが目に浮かぶ。 でも、何も言ってあげることができなかった。 「……」 布団を頭から被る。 でも、視界が暗くなるともっと昨日のことが蘇ってきて、またばさりと布団を剥いだ。 いつまでもこうしていたって仕方ない。しかも、先生までしょげさせてしまった。でも、どんな顔をして彼と向き合えばいいんだろう。今までのようにすればいい。そう思うのに、それすら全然、思い出せない。 ……そうやってぐるぐると悩んでいたタクヤは、またも慧が戻ってきていたことに気付けなかった。 「あの、これ……良かったら」 サイドテーブルにぽんと置かれたのは、忙しいときに何度もお世話になったことのある栄養補給のゼリーだった。 「すみません、今から仕事でして」 「あっ、そうでしたよね」 「一応ここはオートロックですので、もし体調が良くなりましたら、そのままお帰り頂いて大丈夫です。下着などはリビングに置いてありますので」 「はい……」 「それでは……失礼します」 慧は律儀にタクヤに向かって一礼すると、ドアの方向へと去っていく。 ドアノブに手が掛かる音がする。 そして、扉が開く音―― 「待ってください!!」 タクヤは声を張り上げると、がばりと身体を起こした。 その瞬間、鈍い痛みが身体の奥にズンと響く。 「うっ……」 「タクヤさん!」 瞬間移動でもしたかという勢いですっ飛んできた慧に身体を支えられる。 背中に添えられる、先生の大きな手。昨日、何度もタクヤを愛撫し、高めていった手――それだけで昨日の熱がぶり返してきそうで、いやいやいや、とタクヤは首を振ってその熱を振り払った。今はそんな気分になっている場合じゃないのだ。 それよりもまず、すべきことがある。
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